福岡の私鉄である西鉄の宮の陣駅で、西鉄大牟田線から西鉄甘木線へ乗り換える。
普段は利用する機会のない甘木線だが、角打ちできる酒屋を求めて終点の甘木へ。
昔は甘木市って行政区分だったんだよな、その頃に行ったことがあるが、2006年に朝倉町と杷木町と合併して朝倉市になったんだねぇ。
というわけで、随分と久しぶりに甘木に行ったってことだな。
駅を出て商店や飲食店のある方へ向かうと、田舎スナック的な店が何軒かあって夜には賑わうのかな。
徒歩8分ほどで目的の酒屋が見つかった。
「原田酒店」。
店先のテントがボロボロに朽ちていて、廃業してるんじゃないかって風に見えた。
ちゃんと綺麗な暖簾が出ており、営業しているのがわかった。
なにやら張り紙されたベニヤ板みたいのが立てかけてあるのも遠目には廃業して入り口を塞いでいるかに見えたが、それはたまたま行われていた「甘木祇園山笠」という祭りに関するものだった。
博多の山笠と、なんか関係あるんだろうね。
俺が訪れたのは7月14日、博多では流舁きの日にあたる。
さて朽ちたテントには「原田酒店」と屋号が記されているが、暖簾は「はらだ」である。
わざわざ暖簾を出すことから、酒屋ではあるが17時からは飲み屋であるという二毛作的な業態なんだねと判る。
店内は意外と広く、長いカウンターとテーブル席がいくつかあって椅子完備。
酒屋らしく酒を陳列した棚があり、冷蔵ショーケースもあるが、ちょっと角打ちできますよってんじゃなく本格的に飲み屋な様相であるね。
カウンターで、テーブルで、地元のオッチャンやオバチャンたちが思い思いに飲んでいた。
女性店主が一人で取り仕切っていたが、客はみんな協力的で缶チューハイなどは冷蔵ケースからセルフで手に取っており、あまり店員の手を煩わせず楽しく飲んでいる。
とはいえ女性店員もこまめに接客をしており、地域密着の和やかな空気がある。
余所者の一見客である俺はカウンターの隅に陣取ったが、女性店主も常連客もウェルカムな感じで迎えてくれた。
まずハイボール380円也を一杯とベビーチーズ一個100円也をもらう。
ハイボールを作ってる様子が見えたが、ウイスキーはキリンの富士山麓を使ってて珍しいなと思った。
あまり飲み屋では見かけない富士山麓はアルコール度数50度あって俺には嬉しいんだが、度数が高いから客はあんまり何杯も飲んでくれなくて店からしたら費用対効果は良くないんではなかろうかなどと要らぬ心配をしてしまう。
テーブル席で飲んでたオッチャンは、ハイボールは角にしてくれと店主にリクエストしていたので、あまり常連には好評ではない様子だった。
富士山麓は容量600mlで角と同じような売価だから、その点でも店にとっても費用対効果は低いと思うんだが、なにか思うところがあるのだろうか。
カウンターで俺のひとつ空けて隣に座っていた常連氏に話しかけられ、彼は横浜に居たとのことで関東の飲み屋の話を少ししたところ、ここにはホッピーがあるんだと教えてくれた。
最近では九州でも都市部ではホッピーを追いてる酒場も増えてきたが、ちょっと地方な甘木で置いてるのは珍しい気がしたし、話の流れで俺もホッピーを。
甲類焼酎がはいったグラスと瓶のホッピーがでてきて、あわせて350円。
ホッピーセットとしちゃ350円ってのは安いなぁと思ったが、ナカもソトもぬるい。
ハイボールのグラスに残ってた氷をいれて飲んだ。
ホッピーのアテに魚肉ソーセージを。
ベビーチーズとか魚肉ソーセージなんかをアテにしてるのは、そういうのが角打ちっぽいよねという気分で選んでいるわけだが、店としては他にもアテが用意されていて簡単な調理をしてくれるものもある。
角打ちってよりは、ここは飲み屋って雰囲気で、女性店主の接客も少しスナックっぽくもあるかなと感じる。
地元の人が気楽に立ち寄って顔見知りと集い、安く楽しめる飲み屋って風で、良いことだ。
あまり角打ちって空気ではないが、まぁカテゴライズにこだわるより安く飲める店として楽しむのが吉。
「原田酒店」福岡県朝倉市甘木1102 角打ちは17時から
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