苦手っつーか、どっちかっつーと嫌いで、ホルモンとか頑に食いたくないんだよ。
だがしかし、たまたま目にしたホルモン屋の佇まい、その存在感があまりに不思議に強烈で蠱惑的で立ち寄らざるを得なかった。
いやホルモンとか食わねぇし、とスルーしようにもスルーできなかった店に甘木で出会った。
うーん、画像じゃ存在が醸し出す空気みたいなもんが伝わらないか。
なんだこりゃ、と惹き付けられるというより存在を無視できない強いナニかがあったのよ。
そうだなぁ、ゲゲゲの鬼太郎の棲家か? みたいな彼岸の向こうみたいな日常ならざる感じ。
「元祖白橋」っていう、ホルモンの店なんだよね。
甘木には夕方から角打ちできる「原田酒店」を目当てに行ったわけなんだけど、その斜め向かい辺りにあった。
一目見て“うわっ”と思ったが“ホルモンかよ”と無視しようとしたのに、気づけば店の中へと足を進めていた。
ま、ホルモンが売りの店でもホルモン以外のものもあるだろうと思ったのさ。
だがしかし。
ビールを注文したら、自動的にホルモンが出てきた。
キリンラガー瓶があって嬉しい。
嬉しいが、否応も無くホルモンが出てきた。
狼狽して、フロアを仕切っていた女性スタッフに店のシステムを訊くと、自動的にホルモンが出るのだ、と。
自家製のタレと唐辛子で食べてね、と。
おかわりしたいときは言ってね、と。
ホルモンは焼きがデフォルトだけど湯引きもあるよ、と。
言われたように食べてみた。
強烈なニンニク風味、ホルモンの脂と辛さが相まっての、強面の旨味があった。
でもね、ホルモンが噛み切れないんだわ。
困ったな、しかし味付けは素敵にビールに合う、あとひくウマさではあるんだ。
やっぱ俺はホルモンの食感は好きになれない、でも臭みとかは感じない……ってタレが強烈だしそりゃあね。
しかしこの自動的に出てきた一皿は、どうしても食べ切らねばなるまい。
とにかく味だけを楽しんでビールで流し込むように呑み込んだ。
なんだか、外観の佇まいからシステムから、もう存在自体が有無を言わせないところがあるな。
この日は「甘木祇園山笠」の祭りの若衆が店内に現れたこともあり、巨大な瓢箪が何個もぶら下がる店内は、現世ではない何処かのような空気も漂っていた。
なんとも、目覚めながら夢を垣間見たような体験であったのだった。
それにしてもやっぱり俺は、ホルモンは苦手だ。
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↓「食べログ」での店舗情報
元祖白橋 甘木本店 (ホルモン / 甘木駅(西鉄)、甘木駅(甘木鉄道))