その土地に古くから根付いている大衆酒場に惹かれる。
札幌にもそういう酒場はあるかなと下調べして、「第三モッキリセンター」という店を訪ねてみた。
そう高くはないビルの谷間に看板を見つけた。
ここは、いや俺は札幌の土地勘はまったくないわけだが、中心部というには少し外れた区画なのかな。
そう賑やかではない通りに目的の酒場はあった、という感じ。
店舗はビルの1階だから、そんなに老舗感というのはないね。
ネットで調べると、何度か移転をしているとか、らしい。
店頭で品書きが案内されていて、その内容はまさに酒場だ。
外観は味気ないとは言えるが、暖簾は味わいがあって良いね。
色褪せて経年を感じる、という暖簾ではないが、なんだか可愛さがある。
店に入って席に着き、まずビール。
ここは札幌だがサッポロビールではなく、エビス。
まぁエビスはサッポロビールがディストリビュートので、良いな。
北海道らしいアテを、と身欠きニシン。
北海道はニシンでしょ、という連想はあるな。
ヤン衆、という言葉もニシン漁に従事した気の荒い若い衆ってな意味だっけ。
しかしまぁビールと冷たい魚では、寒い。
やっぱり北海道は寒いなと、湯豆腐をお願いした。
湯豆腐に、ぬる燗。
これは別に、北海道の地酒とかではない。
だがそれが、むしろ俺にとっては“当たり前かもしれないが、札幌にも当たり前の大衆酒場があるんだ”という嬉しい確認になった。
というのは、蟹とかコーン味噌ラーメンとかスープカリーとか、観光客向けの北海道グルメとかではない、地元の酒飲みの店なんだな此処は、と思えたから。
そりゃまぁ地域経済にとって観光は大事だが、それはそれとして地元の、単なる酒飲みはいるよな。
そういう客層が好む店なんだな、ここって、そこで俺は飲んでる、という喜びがあった。
ここが札幌の正しい酒場なんだろうなって感じて、良い店だって思った。
↓「食べログ」での店舗情報
第三モッキリセンター (居酒屋 / バスセンター前駅、大通駅、西4丁目駅)