飲み足りない、というより心が満たされないまま十三を歩いていて、この店の路上置き看板に目が止まった。
あっ、バーだ。
あっ、ノーチャージで酒が安い。
あっ、音楽好きの店だ。
それらの要素で、俺は救われた気がしたので、その店「BAR HARePPA」に立ち寄ろうと思った。
階段を上がって2階に店舗がある、上がったフロアは殺風景ではある。
店内は、すごい素敵な空間だった。
けっこう広いスペースだが、間延びせず落ち着いたトーンでまとめられた店内。
なにか巨大な排気システムのようなものがあって、それはなにか訊くとコーヒーを焙煎するから排気するためのもだということだった。
迎えてくれたのは女性店主で、だがオーナーが昼に喫茶店をやっているとのこと。
それで焙煎か。
で、逆にいえば、喫茶店の店舗を夜だけ間借りしてバーをやっているという感じだということだ。
立派なオーディオの機器があって……うわっ真空管じゃん……それはオーナーのものだそうで。
ただ、夜もそのシステムで音楽が聴ける(ただし真空管のほうは夜は稼働しない)。
店内の片隅にレコードが積まれていて、そこからザ・ドゥービー・ブラザーズの「ドゥービー天国」を聴かせてもらった。
ドゥービーを聴きながら飲んだのは、ジム・ビームのロック。
このときシアターセブンで映画を観たあとで、映画の中の登場人物がジム・ビームを飲むシーンがあったから俺も飲もうと思った……という短絡的な選択。
お供に、チョコを。
ドゥービーのLPレコードA面B面を聴くあいだにジム・ビームを3杯だったか4杯だったか。
ところでこの「HARePPA」は、以前は“しょんべん横丁”でやってたそうな、火災の前は。
今は、ここで健在だ。
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