昼酒砂漠の印象が強い名古屋での救いの星だろう大須「呑ミ星」

名古屋ってのは昼酒砂漠だと思っていたのだが、朝から飲める素敵な「酒津屋」って店を知って思い込みは覆された。
そして大須に、昼から飲める店があるという情報をネットで拾ったので、それはぜひ行かねばと思ったのだ。
それが「呑ミ星」だ。

呑ミ星:外観

大須観音の、ちょい裏手すぐというロケーションであるのに、この辺りは人通りが多くなかった。
大須観音にも商店街にも人が溢れるほどいて人の渦に溺れそうに感じたが、ちょっとだけ路地に入ったこの辺りは、大海にポツンと見つかった小島のようで、一息つけたと感じた。
ほんの20mほど目と鼻の先では観光客が路上に群れて飲み食いをしているのだが、何かバリアでもあるかのように人通りが途切れアパートが静かに身を寄せ合うような辺りに「呑ミ星」はあった。

呑ミ星:外観

外観は、掘建て小屋のように見える。
実際は2階建てのちゃんとした家屋のようで、よく観察すると以前は住居軒店舗の個人商店だったのかなと想像されるのだが、なんだか掘建て小屋っぽいんだよね。
それは、増設されたっぽい道路に張り出した部分が、日曜大工っぽい仕上がりだからだろうか。

さて、魅力的な外観だが、どこから入ればいいのかと困惑した。
角を曲がると、ちゃんと入り口らしい入り口があった。

呑ミ星:外観

こちら側から見ると、ちゃんと店っぽいね。
簾が下がり看板が出ているほうのガラガラと戸を開けてみたら、店内はほぼ満席のようだったが、奥に空きスペースがあると案内された。
いったん外に出て、目隠しのようにポスターが貼ってあるほうの戸を、ガラ…ッガラガラと(立て付けが悪い)開けると、なるほど空間があった。

呑ミ星:店内呑ミ星:店内

外から見て特徴的な張り出し部分の、内部はこうなってるのかと確認できて楽しい。
古いプラモデルが無頓着に置いてあるが、これは実はマニア的には非常に価値が高いものかもしれんなぁ。
この空間は、なんだか控え室みたいな、別の部屋だという面白さがある。
天井を見ると、確かに以前は別の部屋だったんだなと確認できる。
正規の戸から入ったカウンター席は舞台で、こちらは舞台脇の控え室みたいだ。

呑ミ星:店内

目の前の壁にメニューが貼ってあるので、なにを注文しようかゆっくり思案。

呑ミ星:メニュー呑ミ星:メニュー


バイスか、バイスって東京の大衆酒場で出てくる飲み物なイメージだが、名古屋で飲むのも面白いかと注文。
しばらくすると、目の前の壁の一部がパカっと開いて、大将がバイスを壁の向こうから差し出してくれた。
おお、楽しいシステム。

呑ミ星:酒

バイスを飲み干す頃に、先客が何人か帰り、カウンター席のほうに空きができた。
こちらへどうぞと案内されたので、移動。
なんだか出番が来たというような、また昇格したような嬉しさがあった。

移動して、バイスおかわりを頼むと、なにかツマミを頼むように大将に言われた。
うちはツマミが売りで、酒しか飲まない客はノットウェルカムだというようなことを言われた。
なるほど、狭い店なのに客が多いから、酒だけで長居するような客は困っちゃうというわけね。
売り上げ的にも、酒だけの注文というのはありがたくないわけだ。
納得できる。

呑ミ星:料理

オイルサーディンの秋刀魚版、秋刀魚ディンなるものを注文してみた。
背の骨が少し気になったが、なかなか良いじゃない。

常連客の支持を得ているようで、なかには近畿から月一で通ってるという人もいた。
立ち飲み屋ではなかなか見かけないような、若い女の子の二人連れもいた。
そこら辺のオッサンもいた。
外観からしてコアな店という印象を受けると思うが、客層は意外に普通だなと感じた。
大将は外観からの印象通りの個性も感じたが、まだ若い大将、真面目で誠実であるのが垣間見えて印象は良い。
店先に、団体客や待ち合わせ利用は困る旨の貼紙があり、来る者拒まずではない方針のようで、それも俺は支持する。
なにしろ俺は人の渦から逃れてホッとしたので、いつまでそういう店であって欲しいから。
観光客が大挙して、という店にはなって欲しくないもんな。

昼から飲める店は名古屋では貴重だと思うし、ここは酒飲みにとって貴重な店だと思う。
また大須へ行ったら、また立ち寄りたい店だな。

↓「食べログ」での店舗情報

呑星立ち飲み居酒屋・バー / 大須観音駅上前津駅矢場町駅