たまたまtwitterのタイムラインで見かけた一枚の画像に、強いインパクトを受けた。
それは、こういう画像だった。
神田駅のガード下である。
なんともソソる看板群。
いちばん大きな「よねこ」もインパクト大だが、「酔狼」って屋号もカッコいいし、こんなとこに寿司屋あんのかよっていう「次郎長寿司」にも惹かれるし、いかにも場末のスナック然とした「スナックるり」も興味深い。
この画像に収まってる店、全部に行ってみたい(カラオケはどうでもいい)と思ってしまったんだよ。
そんなわけで、ようやく機会を得て神田駅のガード下へ。
上記の画像のスポットだけでハシゴしたいと思っていたが、開いているのは「次郎長寿司」だけのようだった。
しかし、小さく写っている灯りが漏れる磨りガラスのサッシ戸から入るのか、と。
これはなかなか勇気が要るな、と思ったので、別の入り口はないか探してみた。
おお、こっちから入ればいいんだ。
最初の画像の下手側へ少し進んで角を曲がると、暖簾のかかった寿司屋らしい入り口があった。
店内は雑然として賑わっている。
いや雑然というのはガード下で長くやってるんだねという風情であって、きちんと清潔に整っている。
ロケーションのワクワク感で、ワンダーランドな感じがする、という気持ちを雑然と表現してみた。
カウンターしかない店で、まぁそうじゃなくてもカウンターに座るけど、寿司屋然としたカウンターで良いなぁ。
気さくな大将が迎えてくれて、まず席に着くとガリと、お通しが出てきた。
なまこ。
俺は苦手なんだ、なまこ。
これは、あとから合流した旧知の女子に食べてもらった。
そう、独り飲みが基本の俺には珍しく、ここで女子と待ち合わせをしていた。
ちょっと入るのに勇気が要りそうな店で待ち合わせをする俺も俺だが、そこに合流する女子も女子だが、そういう客を受け入れてくれる店の懐は深いなと思った。
さて、いきなり寿司を食うのでなく、まず刺身とポン酒を楽しもうと思った。
繊細な仕事がしてあるお造り、というものではなかったが、この店のロケーションと雰囲気にはマッチしているね。
ガード下で、気取りのない刺身が出てくるというのは、雰囲気を楽しむうえで願ってもないとも言える。
こはだ1,000円也。
女子は鯛の握りを、俺は鉄火巻きを。
握りが好きじゃないってわけじゃなく、この店では鉄火が食いたいと思ったんだ。
それはどうしてかと言うと、まぁミーハーなんだけどさ、この店は「次郎長寿司」だし、此処は神田だし。
浪曲のくだりで、“江戸っ子だってね”“神田の生まれよ”“寿司を食いねぇ、酒も飲みねぇ”ってあるじゃない。
そのやりとりで食う寿司ってのは、たぶん握りじゃなくて細巻なんじゃないかなって。
そういうわけで、神田の寿司屋で鉄火巻き食うっての良いじゃない、なんてことを思ったわけなんだね。
まぁ、酔狂だね。
件の浪曲で“神田の生まれよ”って言うのはもちろん次郎長ではなく、石松でもなく石松が会話してる相手なんだけどね。
そんで次郎長も石松も江戸っ子じゃなくて静岡の出で、鉄火巻きは好まなかったかもしれないけどね。
まぁそれでも、神田の「次郎長寿司」で鉄火巻き食って自己満足した。
ところで、この寿司屋にはスナックが併設されている。
最初の画像にも看板が写ってる「スナックるり」だ。
併設なのか? 寿司屋の店内にスナックがある? 軒を貸している?
そのスナックにも入りたいと思ったが、この日はあいにく営業していなかった。
うーん残念、またの機会にスナックでも飲みたいな。
ガード下の寿司屋で飲んで食って、その奥のスナックで更に酔いしれるって、すごく楽しそうじゃないか。
寿司屋としてはリーズナブルで、ロケーションも楽しめた。
なかなか一見は訪れなさそうに思えたが、常連相手の閉じた店じゃなかったのも良かった。
また訪れたいね。
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