環状線野田駅を出て、西九条方向にちょっと歩いてすぐ。
薄暗い高架下に地味に看板が煌めく、味わい深い外観の「はせ川」という居酒屋に立ち寄ってみた。
野田駅の高架下は福島方面側は新しく飲食店がいくつかできて少し垢抜けつつあるが、こちら側は変わらず。
もっとも、こっちのほうが俺は惹かれるんだけどね。
店先に品書きがペタペタ貼ってあて、それを眺めると何がいくらで飲み食いできるか判るので良い。
そしてつらつらと品書きを眺めていると“当店は税込価格”って書いてあって、そりゃ素晴らしいなと歓喜した。
これはもう、ここで飲むしかないと決断させる魅力だね。
平日の18時過ぎ、店はそう混んでなかった、というかそんなに客入りは良くはなかった。
店に入りしな“独りです”と告げてテーブル席に案内されたのでカウンターはないのか。
まずビール、赤星があるのは良いね。
そしてタバコも喫える、という時点でもう俺にとって高評価だ。
酒のアテも豊富で、安い。
いろんなものがあって、おしなべて安い。
紅生姜の天ぷら、ちくわの天ぷら。
どちらもビールに良いし、紅生姜の天ぷらって九州育ちの俺にとって今も大阪らしさを感じる嬉しいメニュー。
そしてこれが200円と、立ち飲み屋とか角打ちレベルの価格で、すごい。
もう既に喜んで飲み食いをしている。
それを助長するのは、この店のムードだ。
なんというか“倦怠系酒場”とでも呼びたい空気がある。
店全体から、ロケーションから、フロアを担当する女性従業員から“倦怠感”を感じる。
また客層も倦怠感のある年代層の男女であった。
これは他所になかなかないもので、良い。
心地よい“ちょっと疲れた感じ”なんだ。
これは良い酒場だなと気を良くして、もうちょっと飲もうと思った。
酒のアテにと改めてメニューを見ると、ああ鍋とかあるのか、いいね。
いや、でもちょっと待て、肉吸いもあるじゃない。
しかも390円なのか、すごく安い、じゃあ肉吸いを。
すごい、お値段以上どころか、お値段の何倍も満足度の高いもので感銘を受けた。
ツユが美味しい、ツユで酒が飲める。
それでいて肉も豆腐も、また玉子まで潜んでいた、
この、390円の満足感。
この飲み屋は秀逸だ。
素晴らしい場末酒場だ。
この店に行ったのは2019年10月30日
↓「食べログ」での店舗情報