熊本で最強かもしれない八代市のフリーダムな飲み屋「ボーロ食堂」

<追記:2015年12月30日>
年の暮れ、ゆく年くる年な時期になると様々なことを振り返りつつ、あの飲み屋まだ存在してるかなってのが気になったりもするんだよ。
特に、吹けば飛ぶよな掘建て小屋みたいな飲み屋は、もう(物理的に)潰れちゃったり、廃業してはいないかしらと心配になったりもする。
そんなわけで、八代市の「ボーロ食堂」へ。

ボーロ食堂:外観

おお、健在だ! 良かった!

マスターは、11月はちょっと体調を崩されていたようだが、元気に店を開けていた。
もう70歳になろうかってマスターなので、引退して店を閉めてはしないかと不安を抱きつつ訪れたのだが、いつものように昼から営業していてくれて嬉しい。

とりあえず、ここでは、他所では滅多に飲むことのない第3のビールだか新ジャンルだかわからんものを飲む。

ボーロ食堂:酒

ちゃんとしたビールも今ではメニューに加わっているが、最初にこの店に入ってみたときは第3のビールだか新ジャンルしかなく、まぁあるものを飲むかと仕方なく飲んだのだが、もはやこの店では第3のビールだか新ジャンルを飲むのが俺には通例になってしまった。

平日の昼下がり、いつものように客席はほぼ埋まっていて、いつもの常連さんの見覚えのある顔ぶれ。
客層はマスターと同じくらいか、それより歳上という年齢層だ。

ボーロ食堂:酒

以前はポン酒は置いてなかったが、今はレギュラーで置いてある。
月桂冠の「月」だったかの紙パック酒だが。
安っぽくて、だけどそれでいいんだよ。

健在を確認してサッと飲んで帰るつもりだったが、常連さんと話が弾んで、というか身の上話を聞いたり手造りの干し柿をいただいたり一杯ゴチソウになってしまったり、なんやかんやで長居してしまったな。
いや楽しく飲めたので、ぜんぜんやぶさかではないのだが。

ここは、八代が誇るべき酒場だと思う。
マスターが末永く健康で、末永く店を開けていてくれると嬉しいなぁ。

<初回投稿:2015年03月02日>
ものすごく好きな飲み屋。
この店に行くためだけに電車に乗って八代に行ってもいいレベル。

JR八代駅から八代市役所に至る、そこそこメインストリートな通りから見える。
ほんのちょっと路地に入るんだけど、大きい通りから店舗が見える。
どんな感じに見えるかというと。

ボーロ食堂:外観

バラックみたい。

遠目には店に見えんわな。
でも店だよ、季節によってサッシの引き戸が開いてたり閉まってたりするが、開いていれば中で大勢の客が酒飲んでるのがわかるし、閉まっていてもサッシに屋号のシールが貼ってあるから店だとわかる。
わかっても、ちょっと入るのに勇気が要るとは思うんだけどね。

だいたい14時過ぎから開いていて、その時間帯からほぼ満席になる。
ぶっちゃけ常連ばかりで占められる店ではあるが、一見を排除するような空気ではないよ。
年齢層は高く、ほとんど60歳オーバーだと思う。
そこへ俺はスーツ姿で行ったもんだから、初めはちょっと常連さんに警戒されたかも。
だが70歳に近いマスターはオープンマインド来る者拒まずな感じに、飄々と迎えてくれた。

ボーロ食堂:店内ボーロ食堂:店内

まぁ雑然とした店内である。
狭く、L字形のカウンターのみで、背中はすぐ壁の圧迫感で、横の客とも近い。
で、最初は場違いな奴であったであろう俺は、すぐ常連の輪の中に入れてしまった……見知らぬ客にも、すぐ話しかけてくるのよね酔ったジジババって(笑)。

ボーロ食堂:のどごし生

ビールはなくて、のどごし生。
俺は普段、発泡酒とか新ジャンルとか、わざわざ金払って飲みたくねぇやってスタンスなんだけど。
この店でだけは飲む。
あるものを飲めばいいやって、この店では思うんだよね。
なんかそういう、いろんな事こだわらなくてイイじゃんって思ってしまう空気の店なんだよ。
ちなみに、のどごし生180円也。

アルコールは他に、焼酎があった。
ポン酒はありませんかと訊くと、恐縮しつつ、無いと。
無いなら仕方ないなと思ったが、なぜか常連さんがわざわざ外の酒屋まで買いに行ってくれたりしたな。
そのうち俺が何度か飲みに行くようになると、ポン酒を常備してくれるようになった。
たまたまポン酒が切れていると、仕方ないので焼酎を緑茶で割って飲んだり。
急須で茶を淹れてくれて、夏場なら氷で冷やしてくれる。

酒のアテは、いろいろある。

ボーロ食堂:メニュー

おでん、うどん、にゅうめん、プロセスチーズ、玉子焼、焼き魚、鯨、鹿刺など、結構いろいろあるよね?

ボーロ食堂:玉子焼き

俺が気に入ってるのは野ぜり、芹だ。

ボーロ食堂:せりボーロ食堂:せり

マスターが摘んできた野生の芹を、その場でお浸しにしてくれるんだが、野趣溢れる香りと味わいでシャキシャキしてて、ポン酒のアテにいいんだよ。

それから、このしろ。

ボーロ食堂:このしろ

なんか盛り付けもへったくれもないような見た目だが、浅く締められていて削った生姜もいい感じ、やはりこれもポン酒のアテにいいんだな。

常連客との会話は、方言がキツくて、ちょっとなに言ってるかわからないときもあるが、面白い。
話好きのマスターは、読書家のようで話題が豊富で話すと楽しい。
正直なところ地元の小さな寄り合い所みたいな入りにくさは感じるとも思うが、マスターも常連客もオープンマインドなので一歩踏み出せば、あとは大丈夫だ。

もう38年やっているそうだが、勝手ながら末永く店を開けていて欲しいと願う。

住所は八代市大手町2-8-5で、ストリートビューでも所在を確認できるから、行ってみて欲しい。
酒が好き、ディープな酒場が好きな人なら、きっと楽しめると思うよ。