屋号と住所と、角打ちができるようだ、という断片情報だけを頼りに下呉服町の酒屋を訪ねた。
住所の場所へ行ってみたら、確かに酒屋があった「宮本酒店」。
しかしシャッターは閉ざされ、営業している様子ではなかった。
営業時間や店休日といった情報を拾えずに酒屋巡りをすると、行ってみたら開いてないってのはよくあることだ。
またさらに、もう廃業してらっしゃったということもある。
そうやってまた、空振り酒屋巡りしちゃったかなと思いつつ店先に近づいて観察すると……
おお、“5時開店”との張り紙が。
この張り紙さえ昔に貼られたまま放置され既に廃業しているという可能性もないではないが、一縷の希望と捉えるポジティブシンキング。
このとき16:34、他所の酒屋を巡ってみて17時過ぎに出直すこととした。
17:43に再訪。
おや……やはりシャッターは降りていて、営業している気配を感じない。
“5時開店”の張り紙があった、上の画像でいうと青い自販機の左の引き戸のドアは施錠されておらず、動いた。
ああ開いてる? と中に入ってみた。
店内は狭い。
引き戸の幅そのままみたいな横幅と、少しの奥行き。
カップ酒と、魚肉ソーセージやスナック類が陳列されていた。
片側の壁に沿って、詰めれば5人は立てるかなというストレートのカウンターがひとつ。
オバアサンが店番をしていて、カップ酒をひとつ買って立って飲む。
壁にはいろんな風景写真が飾ってあって、古くて色褪せた航空写真を眺めると昔の福岡の光景だった。
これサンセルコだよなぁーなどと、写真の中の町並みを眺めて飲むのも楽しい。
オバアサンは、話しかければ応えてくれるが、とくに接客トークをするでもない。
外観でシャッターが降りてる部分は事務所か倉庫になっているのだろうか、壁の向こうになるのだが、そちらからオニーサンも顔を出した。
ひっそりと、営業してる店なんだなぁ。
この日は木曜だったが、週末は常連が集ったりするんだろうか、常連さえ訪れるのは稀なのかもしれないと想像してしまう雰囲気があった。
が、いつ客が来てもいいように開けなきゃと、オバアサンが頑張って開け続けてるのかもしれないなーと、なんだか勝手にドラマを想像してしまうような趣きがあった。
こういう酒屋が、消え往くようで無くならずに残る角打ち文化ってものを、地味に支えているような気がするなー、なんてことを思った。
「宮本酒店」下呉服町6-31 17:00〜たぶん19:00頃には閉まりそう
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