ガンダムを好きな奴のことをガノタ(ガンダムヲタク)と呼ぶが、実は俺がそれだ。
プラモデルやグッズを収集することはないのだが、1979年「機動戦士ガンダム」から始まって今にいたる関連作品をいまだに楽しんでいる。
そういう俺だから、南区塩原にガンダムバーができたという情報は開店当初から知ってはいたのだ。
その店を、ようやく訪れたのだ。
TwitterのTLに、1枚の画像が流れてきて、それで店の8周年を知った。
そして周年記念で生ビールが100円だと知った。
ならば行くしかないということだ。
初めて訪れることになるが、場所は既に知っている。
西鉄の駅であれば大橋と高宮が最寄りと言えなくはないが、どちらからも近いとは言えず、JR竹下駅からアプローチするのが便利だと思える。
店先の赤いテントにはジオンの紋章。
インパクトのある外観だ。
大きなザクの胸像が鎮座しているのは、かわいげがあると言えよう。
そんなものが店先に出してあってイタズラなどされていないというのは、ご近所に受け入れられている店だということなのだろう。
なにしろ周年であるから、店内は盛況であった。
立錐の余地もない、という状況に近かったが、常連であろうフレンドリーな先客が招き入れてくれてカウンター近くに立ち位置を確保できた。
さっそく、お目当のビール。
周年イベントを告知するTwitterのTLで見た画像では『ギレンの一番搾り』となっていた1杯100円のビールは、キリン一番搾りだ。
コースターにもジオンの紋章。
カウンター常に、無数のガンプラおよびフィギュアがひしめきあっていた。
赤い色のものが多い印象だ。
それらのほとんどは、客が持ち寄ったものだという。
なかには目を見張る作品もあった。
「機動戦士ガンダム」劇中の印象的なエピソードで登場した、料理長のキャラクターのフィギュアだ。
おそらく既製品ではなく、オリジナルの改造フィギュアかフルスクラッチ(完全自作)なのだろう。
モチーフの選定が渋く、また造形も素晴らしく、躍動感にあふれて眺めていて楽しい作品だ。
また、「機動戦士ガンダム」から派生した映画に登場したモビルスーツ(人が搭乗するロボット的なもの)の立像は圧巻だった。
大きさもさることながら、それは木彫りのソリッドモデルだった。
大工とか内装職人とかって専門職の人の立派な仕事がされていて、静かに圧のある作品だった。
店内はそこそこのキャパがあり、グッズはカウンター廻りだけでなく奥のテーブルのスペースにも数多く飾られており、立派な展示ブースの様相も呈していた。
そうやって店内に溢れんばかりガンダム絡みのものを見ているだけでも、十分に楽しめた。
店のスタッフは100円のビールを、採算など気にしない様子で積極的にすすめてくれたので、都合10杯ほど飲んでしまって、帰り際の会計時には満足度と反比例した支払額の安さに呆然となった。
さすがに100円のビールだけを注文などということはせず、作品中の搭乗キャラクターにちなんだネーミングのフードメニューも注文したのだが。
それにしても、この店を知ってから実際に訪れるまでに、実に8年の歳月を要したということになる、この日が8周年であったから。
それには、あまりアクセスが良いとは言えないロケーションという要因もあるのだが、もうひとつガノタのノリについていけるかという不安もあったのだ。
そういう俺だってガノタではあるのだが、ガノタにも温度差というものがある。
えてしてガノタというのは、いや全般的にヲタクというのは温度が高すぎて、どうしようもない居心地の悪さを禁じえないということが、接してみるとあるのだ。
そういう想いが、なかなか足を向けさせなかったという面があったのだ。
が、この店の店長、スタッフ、そして常連客諸氏は、暑苦しいヲタクなどではなく、フレンドリーでありながら距離を図れる常識的な人たちだったので、心地よく楽しんで過ごせた。
さて、大衆酒場とか立ち飲み屋、酒屋での角打ちが好きな俺だが。
そういう方面のことは、ここには求めていなかった。
でもフツーに、居酒屋っぽいダイニングバーとして一般的なレベルよね。
もっとも、テーマのある店だから、さすがにガンダムをぜんぜんわからない人だと楽しめないかもねとは思うわ。
初めてのくせに周年イベントの安いビールをガブガブ飲んじゃったんで、いつか通常価格のビールを飲みに行かないと申し訳ないなぁって思う。
いつか行こう。
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