福岡市での昼どき、時間に余裕があったので行ったことのない店でメシ食いたいなと福岡市地下鉄の呉服町駅辺りをウロウロしてみた。
あまり大きな通りじゃない道を選んで歩いていると、ボロボロのテントが目に止まった。
こういう店構え、惹かれるんだよなぁ。
パッと見、裂けたグリーンのテントの印象で廃屋のようでもある「瑛琳」という中華料理店。
どんなもんが食えるんだろうと店先に掲示されてるメニューを眺めたら、“新炒飯ランチ”というものが気になった。
500円って安さもいいけど“新”って何だ、旧炒飯があって改良されて新炒飯となったのか、最新型ブランニュー炒飯なのか、見たこともない炒飯の概念を覆す炒飯なのかと興味をもった。
食ってみよう、と店内へ。
席についておもむろに“新炒飯ランチ”をお願いすると、それは炒飯定食だとのこと。
むぅ、確かに店内のメニューには“新炒飯ランチ”の記載はない。
むむぅ、炒飯定食といわれると普通だなぁって気がしちゃったが、まぁそれでいいか。
そんなこんなで、ややテンションが下がったが、素早く提供された炒飯定食は、ぜんぜん普通じゃなかった。
物量、そして品数の多さ。
えっ、こんなに食えるのか俺、と少々たじろいだね。
まず、おかずの皿。
けっこうな量のサラダ、そこから時計回りに酢豚、真っ黒い何か、チキンカツ、塩焼きそば。
真っ黒い何かは、改めて写真で見れば一目瞭然に麻婆茄子なわけだが、最初はなにかコンニャクが煮詰まった黒いものかな、と思った。
それから、けっこうな量の炒飯。
シンプルで味は濃くなく、おいしい炒飯だった。
そしてスープ、これは具沢山で細長くカットした豆腐とかタケノコとかキクラゲとか入ってたかな(うろ覚え)、いい感じにトロミのついた濃い目の味付け。
このスープは、もし量が多ければ単独でも食事として成立しそうだなぁと思った。
品数が多く、使われている食材の種類も多く、全体的なボリュームはかなりのもので。
これで500円、プラス消費税とかなくて、ジャスト500円という安さ。
安いのに、こんなに食えるだなんて、大盤振る舞いっていうのはこういうものかっ、と感嘆した。
“素早く提供された”と書いたが、おかずの皿は、あらかじめ調理されて盛り付けまで完了した状態で用意されていたと思われるレディメイドなものだろうな。
炒飯も、炒め終わって鉄鍋で待機してたかなって感じた。
作り立てじゃない、とはぜんぜん思わない、おかげで早く食えるんだから文句はないし近隣の勤め人にもスピーディなのは有り難いと思う。
また、おかずの皿は、たぶん日替わり定食と共用なんじゃないかな。
おかず+ゴハン=日替わり定食、おかず+炒飯=炒飯定食ではなかろうかって思った。
ところで何故か、店内は薄暗かった。
俺が立ち寄ったのは11時50分くらい、店内は薄暗く客席はスカスカで、ハズレの店に入っちゃったかと感じた。
が、12時をまわったら続々と客が訪れ続け、あら繁盛店なのねって様相に。
で、薄暗いもんで麻婆茄子が真っ黒い何かに見えたんだよね。
厨房の人は中国語で、フロアの人は日本語も堪能。
で、フロアの人はちょっと独特の言い回しで、常連であろう客に今日の日替わりは何か訊かれて“麻婆茄……茄子を炒めたの”と説明していてチキンカツは“鶏肉を揚げたの”と言っていた。
なんだろう麻婆茄子とかチキンカツとか、そういう一般的に認知されてる料理名を言いたくないのか、材料と調理法で説明したいというポリシーがあるのかな、と、なんかちょっと可笑しくなった。
なんか謎にチャーミングなポイント。
すごく満足した昼メシだったなぁ。
あまり行動圏じゃないロケーションだけど、機会があったら再訪したいかも。
この店に行ったのは2020年10月20日
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