【残念ながら閉店】これが市民酒場というものなんだねという感慨「みのかん」横浜市神奈川区青木町

<追記:2020年11月28日>
たまたまTwitterのタイムラインで知りました、2018年頃に閉店となったようです。

<初回投稿:2016年09月02日>
2015年12月07日の朝、俺は横浜でその日の飲み歩きを開始した。
前日は阪東橋駅界隈と野毛で徘徊した。
今日は黄金町駅から京急本線で神奈川駅へ。

横浜には、目的が2つあった。
阪東橋駅の辺りには角打ちできる酒屋が密集しているようだから、それはちょっと行ってみたいなというのがひとつ。
もうひとつは、横浜市独自の飲み屋文化であるらしい“市民酒場”というものだ。

九州に住んでる俺には耳慣れない“市民酒場”という響きは、なんだかとても魅力的だ。
大衆酒場ってものが好きで東京で何軒か訪れたが、都内では“市民酒場”というものには出会わなかったし、これは横浜に行かなきゃ味わえないものなんだなぁ。
そうなると“市民酒場”を目的に横浜へ行ってみる価値があるなと思った。

横浜市には、3軒が現存しているようだった。
そのひとつを目指しての、神奈川駅。

みのかん

わぁー、神奈川駅って小さいのね。
県の名前がついてるんだから大きい駅かと思ったよ。

駅からしばし、駅前商店街などない単調な道のりを歩く。
頭上に高架が走る第一京浜って大きな道路に出て、しばらく道路沿いに歩いて川の手前で脇道にちょいと入ると、目的の店があった。

みのかん

「みのかん」という店だ。
なんという佇まいだ。
一目で、うわぁ来た甲斐があったわと感じた。

みのかんみのかん

そう大きくない川の傍に静かに佇んで、長い時の流れが染み入っているような外観。
看板にも暖簾にも屋号とともに“市民酒場”との表記があって、ああ来たんだなぁという、これがそうか市民酒場なんだなぁという感慨がある。

店内は静かにノーゲストだった。
まだ11時台というのは客が訪れる時間帯ではないようだった。
ガラガラと引き戸を開けたら土間で、左手にテーブル席と右手にカウンター。
店はオジイサン大将が一人でやっているようで、くわえタバコ……いや煙草と表記したほうが雰囲気に合うな……で迎えてくれた。

みのかん

カウンター席に座って、まずビール。
キリンラガー瓶があって嬉しい。
ビールといっしょに突き出しで、じゃがいもと厚揚げを煮たのが出てきた。

みのかん

じゃがいもと厚揚げを煮たのっつーか、おでんかな。
辛子をたっぷり使えて嬉しいね。

カウンターの奥のバックバー、というか棚には、あんまり見かけないウイスキーが並んでいた。
オークマスターといウイスキーで、これは地ウイスキーかなと思ったが後で調べたらキリンが売ってるんだね。
もともとメルシャンが造ってたウイスキーだが、メルシャンはキリンに買収されたからね。

みのかん

珍しいなと思って、オークマスターを注文してみた。
クセを感じるウイスキーだが、初めての市民酒場経験の趣が深まった気がしたよ。

みのかん

この店はBGMがなく無音で、おじいさん大将は寡黙だ。
だから静かな時間が流れるが、手持ち無沙汰だったり疎外感を感じるということはなかった。
ただ黙って酒を飲んでるだけでも、じわじわ楽しいという感覚があったな。

みのかんみのかん

ビールとオークマスターを交互に飲みつつ、アテにトマトを注文してみた。
切って皿に盛られただけのトマトは、瑞々しく赤く鮮やかで、たっぷりの塩の白とのコントラストが美しい。
もう関東飲み歩きの4日目で、連日の飲酒でだいぶ身体が濁ってる意識があったが、トマトを食ったらリフレッシュされたような気がした。

初めて市民酒場というものに行ってみて、その由来を聞いたり市民酒場らしさを味わった、というわけでもなかった。
が、ただただこの「みのかん」って店は、しみじみ良い酒場だなぁと、来て良かったなぁと思ったよ。
“渋い”とか“昭和の”とか、いろいろ飾りをつけて褒め称えることもできるだろうが、そんなこと言う必要なんかないやと思った。

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↓「食べログ」での店舗情報

みのかん居酒屋 / 神奈川駅反町駅仲木戸駅