名古屋の朝、ささっと身支度してホテルを出て、まず名古屋駅へ。
そこから市営地下鉄を乗り継いで、電車を降りて徒歩10分ほどの、そこそこな移動(時間にして30分超)。
目指したのはこの店、「めし とん汁 常」。
時空の裂け目に存在する店なのか、ってな外観が、たまらん。
何十年ほど前にオープンしたのか知らんが、たぶんオープン当時の姿のまま存在し続けている気がする。
テントは色褪せまくっており、そして雨の雫の筋に沿って苔むしているような。
暖簾もやはり色褪せて、それでいて染め抜かれた文字は力強く……いや力強いが、なんか変だ。
これじゃ“めん”と“とん汁”の店かな、って思っちゃわないか。
いや“めし”と“とん汁”の店なんだよなぁ……まぁいいか。
安い、一品料理がいろいろと安い。
店先の張り紙で100円商品のラインナップが案内されていて、それらは店内のケースに並んでいる。
そのケースは、店内中央の対面式カウンター席の間仕切りとして機能している。
なので向かい側の席に客が座っていてもパーソナルスペースを確保でき視線も気にならずに快適。
それに、目の前に100円の品々が並んでいるというのが愉しい。
まずはカツとじとビールだ、まだ07時台後半だけどな。
こんな時間帯から飲めるなんて最高じゃないか。
こんな時間帯から飲むために、朝早くから身支度して地下鉄を乗り継いでテクテク歩いて来たのでもある。
しかもキリンラガー瓶と灰皿のある優良店だよ。
ケースの上に並んでる皿は200円商品ということになる。
壁に貼ってある品書きを見ると、同一アイテムに2つの値段が書いてあるから、量によって値段が違うんだな。
腹具合によって選択できて良いね。
やっぱり“めし”と“とん汁”の店なんだから、それらも。
名古屋だねぇ、とん汁が赤味噌仕立てだよ、あんまり具沢山ではないね。
で、まぁこれで飲んだし朝食はとったし満足はしたのだが。
やっぱりねぇ、目の前にあれこれ並んでるとね。
もうちょっと飲もうかな、ってなるね。
先客が一人あって、そこそこ高齢なその人、ずっと腰を落ち着けて飲んでるしね。
店内は静かでのんびりした空気で、店の人もゆったり座ってるしね。
ちょっと長居させていただこうと、鯖の煮たやつと日本酒を。
朝っぱらから満たされた。
それはもう、すっかりと満たされた。
名古屋って昼酒砂漠だよなって印象を俺は持っているのだが。
早朝から飲める、こんな店もあるんだなぁ。
まぁ午後の早めに閉まるから昼飲みには利用しにくいんだけどさ。
でもやっぱ名古屋において希有な、希少な店だ、もう名古屋の至宝と言っても過言ではないだろう。