それは角打ちできる酒屋についての情報がネット上にはそれほど豊富じゃないと感じて、俺もできるかぎりネット上に情報を共有させたい気持ちがあるからなのね。
角打ちってのは九州の方言みたいな面もあり、だから関西や関東では角打ち文化ってのは存在しないのかなっていうと、そうではない。
“角打ち”っていう言葉は使われなくとも、立ち飲みができる酒屋は各地にあるんだね。
そういう酒屋の情報を、各地の酒好きがネット上に共有してくれているの。
その恩恵にあずかって、堺東で訪ねてみたのが「溝畑酒店」。
アーケード街に存在する、入口の両サイドにビールケースが積まれた酒屋。
こうもビールケースが積まれていれば、ここは店舗じゃなく倉庫なのかと思っちゃいそうだが提灯は灯っているし暖簾も出ているから営業してる店なんだねと判る……が、なかなか飲み歩きビギナーにとっては踏み込むのに勇気が要る外観だよね。
暖簾の隙間から店内を窺うと、けっこう盛況。
金曜の夜ってこともあり賑わってるようだ、さっそく俺も入ってみる。
間口の狭さと比例して、店内もコンパクトに狭い。
入口から見て左右にカウンターがあり、どちらのカウンター側にも酒やアテが雑然と並んでいる。
こういうゴチャゴチャした感じ、大好きだ。
フラリと迷い込んできた見知らぬ一見のオッサンである俺だが、店主も先客もウェルカムに迎えてくれた。
さて、まず何を飲もうか。
おお、逆さにしてポワラーつけてウイスキーがいろいろあるなぁ!
酒屋の角打ちでは瓶か缶のビールやポン酒を飲むことが多いんだが、ここはウイスキーいっとこう。
オールドパーやヘネシー(ウイスキーじゃないが)があるのが昭和だなー、おっ山崎(10年かな)320円って安いなー、などと目移りしてしまう楽しさがある。
ジョニ赤をもらうことにした、ここの2軒前の飲み屋で飲み損なっていたので。
飲みながら、九州から来たんだけど関西での酒屋の立ち飲み事情についてなど、店主や先客と話す。
みなさんオープンマインドな感じで楽しい、酒場って楽しいねと初心に返って再確認するような楽しさ。
ジョニ赤の次に、サントリーロヤルを。
ローヤルって、今はもうあんまり見かけない気がするよね。
昭和の昔、そう30年近く昔って、ウイスキー飲みにとってレッド→ホワイト→角→オールド→ローヤルって段階的にレベルアップしていくものって風潮があったと記憶しているが、もう角しか見かけなくないか?
ところでこちらは酒屋の角打ちだが、アテがやたら充実している。
乾きものだけじゃなく調理されたものがいろいろ用意されていて、そのアイテム数も豊富。
俺は角打ちでは食いもの注文しないほうだが、なんとなく場の雰囲気で炒めものを。
まぁウイスキーには合わなかったけどね。
それも気にならないんだ、陽気に飲んでたから。
商店街に唐突に存在している特異点な感じ、店先の排他感、店内の狭さと雑然とした様子、色褪せたカウンターの風格、店主や常連のフレンドリーさ、充実したウイスキー、多種多様な食いもの、そういったものが渾然としてトータルで素晴らしい店だねここは。
九州から離れた地で、これぞ理想的な角打ちじゃないかという店に出会えて嬉しかった。
この店を知れたのもネット上の情報のおかげなんで、俺も微力ながら情報を共有していきたいと思う。
↓「食べログ」での店舗情報
溝畑酒店 (立ち飲み居酒屋・バー / 堺東駅、大小路駅、花田口駅)