オサレな町ってイメージの福岡市中央区の警固なんだけど。
以外とスナックが多い町だなと気づくんだな。
スナックってものを、若い頃は毛嫌いしていた。
あんなもん腐ったオッサンが行くもんだと。
オッサンってのはテレビの野球観戦とゴルフとパチンコと演歌とスナックが好きな、唾棄すべき存在だと思っていた。
そんな俺が、今やすっかり心身ともにオッサンになったわけなんだけどね。
まぁいまだに、野球もゴルフもパチンコも嫌いだし、演歌は蔑んでいるし、そしてスナックも……いや実はスナックは、そんなに嫌っていないんだな。
というか、スナックを好きになろうと努力しているって感じはある。
なんでかっつーと、福岡には古くからの大衆酒場や立ち飲み屋や角打ちやってる酒屋が東京や大阪みたいに多くはなくて、だからオッサンが溶け込める酒場ってのは意外と少ないんだよね。
若者向けのオサレな飲み屋ってのは豊富にあるんだけどさ。
これからさらに歳を重ねると、もう俺の受け皿はどんどん少なくなってスナックに行くしかねーんじゃないかって危惧が、少しある。
それでスナックを好きになっておいたほうが良いかもねって、そんな気分があるわけなのよ。
また、玉袋筋太郎がいろんなメディアでスナックは良いぞってアピールしてるのを見聞きして、俺もスナックに肯定的になってみれば世の中が楽しくなるかなって思ったというのもある。
そんなこんなで、警固で、その佇まいになんだか惹かれた「麗」というスナックに立ち寄ったみたのです。
場所は、昔っからあるビフテキ飲み屋「うぇすたん」の並びだ。
なんかまぁ、古いビルでいい感じの場末感が漂っているように感じた。
それに、安いじゃないか。
飲み放題2時間2,000円、お得感ありあり。
そして明朗会計を期待できるよね、こんだけ明確に看板に表記してあれば。
階段を上がって2階の店舗、おずおずと扉を開けると店内は騒がしくなくてホッとした。
とりあえずスナックって常連がたむろしてて一見客は排斥されるってイメージがあるんだが、先客は一組で割と静かだった。
また、華美でない内装も落ち着く。
小ぢんまりと、屋根裏部屋みたいな雰囲気もある店で、ママさんが一人で切り盛りしていた。
ピチピチの若い女の子がいない方が、かえってホッとする。
看板に記載の2時間飲み放題2,000円で飲めるか確認すると、それでオーケィと。
ウイスキーを飲みたい旨を伝えると、ハウスボトルはカティサークとジョニ赤があるとのことでカティサークを。
とてもありがたいなと思ったのが、飲み放題2時間を明確にするため時間をメモした附箋をペタっとカウンターに貼ってくれた。
それだけでもう、ここって良い店じゃんって思ったね。
そうしてウイスキーをグビグビと、ママさんがおかわりを作ってくれて飲んでたんだけどグループ客が後から来てママさん一人なもんで対応に追われるようになって、もう自分のペースで勝手に飲んでねとボトルを目の前に置かれた。
それは放置プレイといえばそうだが、俺にはそっちのほうが気楽だ。
グループ客がカラオケを次々に歌うのを聞き流しながら勝手にウイスキーを飲んでいたら、元からあまりたくさんは残ってなかったボトルが空になった。
それに気づいてママさんが、新しいボトルを出してくれた。
やっぱこの店、良い店じゃないか。
お客さん酒強いねみたいな、よくある会話に交えて、ここは常連ばかりで歌うのが好きな人が多い店よと聞いた。
それはつまり酒ばっか飲んでちゃダメなのかなって気もして、カラオケ一曲だけ歌っといた。
カラオケは一曲200円で、なるほどセット料金が安いからカラオケ歌ってもらわないと売り上げ上がんないよね。
うーん、俺は良い客ではないなぁ。
しかし、またウイスキーをガブガブ飲みに行きたいかもって思ったね。
次に機会があれば頑張って二曲くらいはカラオケ歌わなきゃなと思う。
ワンコーラスだけでもいいよね。
「スナック麗」福岡市中央区警固2−14