熊本市の繁華街から少し外れた練兵町にある、古い居酒屋「あめや」。
創業何年なんだろう、結構な時間の積み重ねを佇まいに感じる店。
店先に“男の隠れ家”なんて書いてあるが、疑似レトロな店造りの企業系居酒屋にそういうこと書いてあるとムカつくんだが、ここは素直に受け入れられるんだわ。
ちなみに店先に猫がいて、大将に訊くと店の猫だそうだが、愛想良く営業はしてくれない(笑)。
久しぶりに立ち寄ったが、変わってないなぁ。
古くからやってる店に対しての“そこだけ時間が停まったような”という表現はよくあるので使いたくないんだが、それでもやっぱり時間が停まったような感じがあるんだわ。
こちらの大女将が、いつものように時間が停まった置物のようにカウンターの奥に座ってらっしゃる。
いや、実際にはとても元気でシャキシャキしてるんだけどね。
カウンターにはたくさんの大皿料理が並び、それをまず眺めるのが楽しい。
なにを注文しようか想いを巡らしつつ、ビールを先に注文する。
キリンラガー瓶があって嬉しい。
お通しに温奴が出て、それを起点にして料理を注文することにする。
豆腐だしビールのあとはポン酒に流れようかなぁ。
と同時に、ビールにも合う味の濃いものを、と思っての鯖の味噌煮。
鯖は、お腹の方か尻尾のほうか訊いてくれる。
俺は尻尾のほうが好きなのよね。
週半ば水曜の19時台、俺の他に先客が一人。
出張で来ているらしい先客氏と大女将と交えて雑談などしつつ楽しむ。
大皿料理が並ぶなかに紅白なますが見えて、それも注文。
あまり細切り過ぎず食感が楽しめ、酸っぱさと甘さも良い塩梅だ。
紅白なますが好きなんだよ、ポン酒がすすむんだよねぇ。
ポン酒を注文すると、お猪口を選ばせてくれるのが嬉しい。
この店は喫煙可なんだが、カウンターに座ると喫うのを控える。
目の前に美味しそうな大皿料理が並んでいるから、タバコの匂いが移ってしまったら嫌だよね。
なので、この店ではついつい喫煙を自粛してしまう。
だいたいタバコを喫えない店は嫌いだが、ここはちょっと別なんだよ。
古くからやっているが、この店を俺が知ってから3年だか4年に過ぎない。
知らないうちに吉田類の「酒場放浪記」で紹介もされてたんだね。
俺より少し上の世代には、すごく有名な店なんだろうね。
その割りに、あんまりローカルメディアとかで取り上げられてない気もするが、どうなんだろう若い世代にも知ってもらいたい気もするが、あまり有名になり過ぎて欲しくもない気もする。
熊本には珍しい、大衆酒場って感じがするよ。