【残念ながら閉店】愛しい昭和感丸出し喫茶店だった「喫茶 香」大阪市西区土佐堀


更新をサボっていた時期に、いつか書こうと思いながらも時ばかりが経ち時空の狭間に埋もれてしまっていた。
そうこうするうちに残念ながら閉店となり、もはや書いても詮無いことか……と埋もれさせてしまっていた。
しかし記録として書いておこうと思い直し、ようやく今こうして書いている次第です、ってやつ。









先に言っておくと、この店はもう残念ながら閉店している。
江戸堀の仕事現場に定期的に通っていた2022年の後半に、けっこう足を運んだ「喫茶 香」。



タワーマンション、高層オフィスビルが目立つ界隈にあって、エアポケット的に昭和な建物がある。
そこに入居していた「喫茶 香」もまた、昭和感丸出しな喫茶店だった。
看板が、かなりくたびれている。









大きな白いテントは、くすんでいて文字はかすれ気味。
薄暗い階段を上って店へ。









階段の登り口に写真入りでメニューが掲示されて、何がいくらで食えるのか把握できる。
価格帯は安いな、じゃあ寄ってみようと思った。
メニューの掲示がなかったとしたら、わざわざ階段を上がろうとは思わなかっただろうね。
で、いざ足を踏み出すと、階段を上り切る途中にもういきなり店の入り口が現れた。
中2階、みたいな高さ。









店内は味わい深く昭和風味、それでいて落ち着いたお洒落な雰囲気もないではない。
オレンジの照明はセンスを感じるし、チェアもオレンジで配色に調和がある。









そのチェアも、テーブルも、古びてガタガタピシピシではあったが。
窓際の席は、たぶんテントがあるせいで景色は見えないのだろう、白いカーテンが引かれていた。
席に着くと、お冷と“いかにも喫茶店”なおしぼりが出されて嬉しい。
各席には灰皿完備なのも嬉しい。









卓上のメニューをしっかり見ると、メニューの数はそう多くはないが、まぁ安いこと。
カレーライス550円とかオムライス600円とか、定食だって700円だ(2022年07月12日時点)。
大阪のビジネス街、江戸堀や土佐堀のこの辺りで、2022年にこの価格設定は安いだろう。









オムライスをお願いした。
ペーパーナプキンぐるぐる巻きのスプーン、たっぷりのケチャップが良いね。
玉子は何個使ってんのかなってフワフワなボリューム、中身は具が乏しいケチャップライス。
もっと鶏肉とかゴロゴロ入ってたら嬉しかったが、でもまぁ600円だもんなぁ、上等よ。



しばらくは江戸堀の現場に通うし、ぜひまた利用しようと思った。
それが2022年07月12日のこと。









さっそく再訪、07月20日。
喫茶店といえばモーニングだよなと、仕事の前に寄ってみた。
この店のモーニングは08時から、トーストとタマゴが付いて330円だった。
暑い季節だからコーヒーはアイスにしたが、値段はそのままだったと記憶している。
モーニングのコーヒーをアイスにすると50円増しって喫茶店、割とある印象なんだけどね。









トーストは、横から見ると高さがあり、けっこうな分厚さだった。
ふわふわで表面はカリっと焼かれてバターの風味、さらにタマゴのフィリングが挟まっていた。
茹で玉子も付くからタマゴとタマゴがカブるわけだが、嬉しいタマゴのデュエットだ。
しっかり腹が満ちて満足度が高かった。









この店は、まるで“大阪のオバチャン”の典型のような、ガハハと元気で明るいおばちゃんがフロア担当。
寡黙で職人っぽい、店主であろうおじさんがカウンター内で調理を担当していた。
おばちゃんのキャラクターが飾りっ気がなくチャーミングで、それもこの店の魅力だった。



ある日、おばちゃんがいないときがあった。
フロアを仕切って会計とかも受け持つおばちゃん不在では、おじさん店を回すの大変だろうなぁと思った。









その日はカレーライスを注文したのだが、おじさん慌てる様子も一切なく、迅速に料理が提供された。
おじさん、すごく仕事できる人だったんだなぁ。









定食も食べてみた。
大阪らしく、ヤキソバ定食。
ヤキソバもごはんも、けっこう量があって満腹必至な見た目。









良い感じに炒まった豚肉とキャベツがね、ごはんがすすむ味付けでね。
けっこう“おかずとしてのパフォーマンス”が高いヤキソバだったな。









ラーメン定食というものも食ってみた。
喫茶店でラーメンか、どういうものだろうと思いつつ頼んでみた。
ああ、なるほど大阪の立ち食いうどん屋で出してるような、和風で薄味なラーメンね。
うん、これは“おかずとしてのパフォーマンス”が低かったので、味海苔が添えられていたのは助かった。









そんなこんなで好んでリピートしていた。
しかし俺の働き方のせいなんだけど、江戸堀の現場へ通うのはパーマネントな仕事ではなくて。
だいたい6ヶ月スパンの契約で、仕事を請けたり請けなかったりだ。
そんなわけで「喫茶 香」を訪れることが、しばらくなかった。









また江戸堀の現場で仕事が発生して、久しぶりに「喫茶 香」へ。
メニューを見ると、おぅ、値上がりしてた。
メニュー画像は2023年05月26日時点のもの。
以前は600円だったオムライスが700円になったか、と思いつつオムライスをお願いした。
ぷっくりとした見た目のオムライス、700円でもぜんぜん良いじゃん。









それから少し、間が空いてしまった。
江戸堀の仕事があるときはいつでも「喫茶 香」行けるじゃん、みたいな油断もあったな。
実際には、次に立ち寄ることができたのは2024年02月28日だった。









閉店していた。
入り口ドアに貼られた閉店をアナウンスする貼り紙には、俺が訪れた日の前日をもって閉店との告知。
ああ、閉まったのね。
そうか、うん残念だが、なんというか営業してる間に何度か行くことができて、ありがとうございました。



とても好きな店だった。





この店に最初に立ち寄ったのは2022年07月12日
↓「食べログ」での店舗情報
喫茶店 / 肥後橋駅渡辺橋駅中之島駅