劇中で、ゴールデン街辺りでやってる場末のオカマバー的な店で飲むというシチュエーションがあったので、そういう感じの飲み屋に行きたい気分だった。
しかしそういう店って思い当たらないなぁ……と、アテのないまま歩いていたら赤坂の路地。
このビルのエントランスの雰囲気は、そのときの気分にマッチした。
けっこう昔からやってる「ア・バオ・ア・クー」というバーが入っている建物だ。
けっこう昔に数回だけだが立ち寄ったことのある「ア・バオ・ア・クー」で飲むのもいいなと思ったが、同じフロアの隣の店になんとなく惹かれた。
「AKATSUKI」という店。
どんな店だか予備知識はまったくないが、なんとなく店に飛び込むのは嫌いじゃない。
今はそうではないが、若い頃は未知のバーにやたらと飛び込んでみるのが好きだった。
その頃の記憶が、この夜に観た映画に刺激されて蘇ったのかもしれない。
いや、ただ単に気紛れなだけか。
ドアを開けると、たぶん同世代かちょっと上かなって感じの男性マスターが迎えてくれた。
店内は一目でスナックの居抜きなんだなと判る。
照明暗めのカウンター席には女性2人組の先客があって、近くに見ず知らずのオッサンが座ったらイヤだろうなと少し距離を置いて座った。
映画館からそれなりに歩いちゃって喉が乾いていたので、まずビールを。
サッポロ黒ラベルだったかの小瓶。
小さめのビアタンブラーがいいね。
この店はタバコが喫えるか訊くと、どうぞとのこと。
有り難い。
喉を潤して、ゆっくり店内を眺める。
いかにもスナック居抜きという第一印象だったが、内装はなかなか趣があるね。
なんか昭和の古びた優雅さを感じるよ。
壁の色や照明は手を加えてあるのかな。
カウンター内にはテレビがあって、古い洋画の、たぶんDVDが流れていた。
俺が立ち寄ったときに再生されていたのは「大脱走」のようだった。
マスターに“これって「大脱走」ですかね”と訊いてみて、それをきっかけに古い映画の話をした。
映画を好きになった入り口はテレビの洋画劇場だったってな話題が共通項だったから、やっぱりマスターは俺は世代が近いんだな。
それはそうとビールを飲み干す頃に何気なく所持金を確認したら、思ったより財布の中が寂しかった。
もうちょっと飲みたいが支払いに足りるかなと心配になり、マスターに現状の所持金を申告して、あと何倍飲めるか試算してもらった。
この店はチャージがないこと、所持金でウイスキーをあと2杯飲めることが確認できた。
安心してデュワーズを水割りで。
またしばらく映画の話をしていたら、マスターはマーベルコミックスの実写映画化作品が好きだとのこと。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス」は観ましたかと訊かれ、ああ面白かったですね、「ローガン」は観ましたか? と返して楽しく映画の話ができた。
そう、このブログでは言及してなかったと思うが、俺はアメコミ好きなのだ(主にマーベル)。
先客に友達が合流して、あまり映画の話ばっかしてマスターを独占しちゃいかんと、2杯目のデュワーズを飲みながら「大脱走」の後に再生された「タクシー・ドライバー」をしばらく眺めた。
この店、バーなのにノーチャージで、酒も高くなくて良いね。
またいつか、映画を観たあとに立ち寄りたいな。
↓「食べログ」での店舗情報
BAR AKATSUKI (バー・お酒(その他) / 赤坂駅、薬院大通駅、西鉄福岡駅(天神))