俺は“大衆酒場”というものが好きなんだが、そう呼べる店は福岡には残念ながら少ない。
ない、ないと嘆いてばかりでは精神衛生上よくないので、新たな地平に光明を求めることとする。
それは“飲めるメシ屋”だ。
早良区高取「やよい」という店。
すごく魅力のある外観で、これは飲めそうだなという嬉しい予感がある。
でもね、こういう趣のある町のメシ屋って感じの店は、酒を飲もうにもアテが見繕えないって場合もある。
品書きに定食、丼、麺類しかなくって困るというケースね。
いやまぁ、メシ屋然とした店ならメシしかなくても当たり前といえば、そうなんだけど。
この店は、看板に“酒とお食事処”とあるから飲めると期待したいが、店先に出ている品書きは定食だけをアピールしているので、はたして飲めるのかどうかと店に入るのを躊躇してしまう。
ジーっとしててもドーにもならねぇので、思い切って踏み込む。
L字型のカウンター席の奥に座ると、目の前に燗つけマシーン。
店内は、おじいちゃんパラダイスの様相。
みんな、いい感じに酔っ払っている。
うん、当たりだ、この店は飲めるメシ屋だ。
まずビール。
店内入り口脇に冷蔵ショーケースがあって、そこから自分で取り出すシステム。
キリンラガー瓶があって嬉しい。
栓抜きがステキ。
暑い日だったので、アテに冷やしトマト。
それと常連氏の強いオススメで、ニラ玉。
使い込まれてガタガタに変形した鉄のフライパンで調理されたニラ玉は、野菜に絶妙に火が入っており玉子はふんわりで美味しかった。
ディープ常連とみられる人生の先輩諸氏は、けっこうガンガン話しかけてくる。
見知らぬヒゲのオッサンである俺は、先輩諸氏からすれば若輩の珍客ということなんだろう。
酒場で話しかけられるのは嫌いではないので、楽しく応じる。
ポン酒を常温で。
せっかく目の前に魅力的に古びた燗つけマシーンがあるが、暑いから常温で(この更新が滞りがちなブログにはたいしたタイムラグがあって、ここに訪れたのは7月8日のことなんだ)。
こちらで出してるポン酒は「池亀」で、コップにロゴが入ってて、これがカワイイ。
女将さん一人で店を切り盛りしていて、客あしらいが気持ち良い。
おじいちゃんと呼んでも差し支えないかなという常連諸氏への、優しい気持ちがうかがえる。
この店をすっかり気に入って、後日また立ち寄った。
やっぱりまたビール(この日も暑かった……7月22日のことだ)。
L字型カウンターの、前回とは違う辺の、ちょっとテーブルみたいになってる席に座った。
このポジションは冷房がすごく効いて快適だったし、壁に貼ってあるメニューがよく見えた。
酒のアテが充実してる。
素晴らしく、飲めるメシ屋だ。
この日はサバをアテにして、またポン酒を飲んだ。
素敵な店だなぁ。
庶民のための、地元の人のための飲めるメシ屋で、いわゆる“古き良き”という風情に魅了される。
ただ、失礼ながら勝手なことを言わせてもらえば、ここって17時からなのよね飲めるのが。
昼メシどきの営業のあと中休みがあっての17時から営業。
昼下がりにも飲めたら嬉しいんだけどなぁ、と思うんだけど、それは俺のワガママだな。
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