「小田部酒店」。
自販機やビールケースに埋もれるように目立たないが狭い入り口は開け放たれていて、年季のはいった角打ち用カウンターが見えたのだ。
先客に、近所のジイサン然としたジイサンが酒をあおっていた。
よし俺も続こうと思ったが、ちょうどタバコを喫いたいと喫煙所を探してウロウロしていたタイミングでもあった。
昔ながらの角打ちではタバコを喫えないことが少なくないので、まずはどこかで先にタバコを。
すぐそばにパチ屋があって、その脇のちょとしたスペースに灰皿があったので、そこで喫煙。
余談だが俺はパチンコ、パチンカスが嫌いなんだが、喫煙場所の提供という点だけは評価する立場である。
さて改めて「小田部酒店」。
店先にワンカップ酒の自販機があって、売ってる銘柄が大関とかじゃなく「喜多屋」なのが珍しい気がした。
さっき見かけたジイサンがもうおらず、店内ノーゲスト。
冷蔵ショーケースにビールや缶チューハイなどが売ってあるが、せっかくだからポン酒を飲もうと量り売りの酒はありますかと店主に訊くと、見事な注ぎっぷりでコップ酒を出してくれた。
素晴らしい表面張力の世界。
それを、無造作に見える手つきで片手で注ぐのだから、熟練した酒屋のオヤジってのはスゴい。
ところで銘柄はなんだったか忘れた。
酒を出したら店主はレジ脇の定位置に戻った。
特に接客トークなどはない。
あんまり、やる気がないようにさえ見える。
が、この辺の酒屋事情とか何年やってんですかとか話しかけると応えてくれて、そのうち興が乗ってきたのか店は60年くらいになるとか放っておくと朝早くから酔っ払いが来るから角打ちは13時からにしてたとか、いろいろ話してくれた。
自分からは話しかけないけど話すのは好きなタイプかしら。
目立たず、細々とやってるように見えてしまう店舗だが、実際には愛好者に支持されてる酒屋なんだろう。
近くにパチ屋があることも、酔っ払いを供給して店の存続に寄与してる面もあるかもしれない。
俺はパチンコ、パチンカスが嫌いなんだが、近隣の店に客足を増やすという効果は認めないでもない立場である。
にしても、パチンカスはキレイな飲み方はしないだろうがね。
角打ちビギナーには、とっつきにくい店かなとは思う。
でも、こういう枯れた感じってのも角打ちの良さなんで、興味のある人は立ち寄ってみて欲しいな。
狭い酒屋だし、団体じゃなく一人でな。
(そもそも酒屋で角打ちするのに団体で行くような奴は嫌いだ)
↓「食べログ」での店舗情報
小田部酒店 (立ち飲み居酒屋・バー / 西新駅)