西新は福岡市の中でも住んでみたい町ランキング上位に入ると思うが、俺も住みたいと思った。
学生向けの安い賃貸物件が多めな印象だし、活気があって庶民的な商店街に魅力があるんだよなぁ。
福岡市営地下鉄に藤崎という駅がある。
地下鉄西新駅の隣なんだが、藤崎も西新の延長というか一部という気が俺にはする。
西新の商店街をのいろんな店を眺めながら歩くと楽しくて、いつのまにか一駅分歩いて藤崎まで行っている。
そんな藤崎で、気になる看板が目にとまった。
煮込み、か。
開いてます、か。
まだ昼だが、酒が飲めるってことか。
うむ、14時から飲めるってわけね。
これは立ち寄って見ねばなるまい。
俺は昼から飲める店が大好きだ。
彩やかなイエローが怪しげなビルの1Fに、なるほど営業中の店があった。
「藤達」という店。
平日の14時から17時まではアルコールすべて390円って、ハッピーアワーなわけね。
昼間がハッピーアワーな店って、いいね。
店先のドアは開け放たれていて、ちょっと覗くと薄暗い店内。
外は昼だが店内は夜の雰囲気だね少し。
立ち寄ったのは平日の15時ちょい過ぎ、カウンター席には先客が一人あって、ちゃんと昼から飲める店として機能してるんだなぁ。
俺もカウンター席に着き、まずは一杯なにを飲もうか。
煮込み推しの店のようだからアテに煮込みを注文するとして、それなら飲みたいのはビールだな。
瓶ビールはあるかマスターに訊くとビールは生だけとのこと、生の銘柄を訊くとサッポロ黒ラベルとのことで、それなら生をいただこう。
生ビールといいながら発泡酒や第3のなんとかを出す店もあるので確認しないと生は注文したくないのだが、ここはポリシーを持って黒ラベルを選んで出している空気があって、それなら信用できる。
うん、ビールうまい。
では、煮込みを注文しよう。
だがここでまた、煮込みはどういう煮込みなのか訊かないと気が済まない俺。
なんでかっつーと、俺は内臓が苦手だからなのよね。
で、どんな煮込みか訊くと、牛煮込みだ、との答え。
で、牛のモツなのかスジなのかどういう部位なのか訊くと、やや憮然とした様子でスジや赤身の煮込みとの返答。
東京で煮込みってーとモツだかスジだかわかんないし、大阪でどて焼き、名古屋でどて煮を頼むときもそれは同様で、俺は内臓が苦手だからいちいち訊くんだよゴメンねと伝えると納得してくれたようだった。
しかしまぁ、大衆酒場や立ち飲み屋が好きなのに内臓や焼酎が苦手ってんだから、俺もまぁ変わった酒飲みかもしれないね。
さて、牛煮込み。
並650円と小550円とあって、小を。
小にしても、俺には十分過ぎる量だな。
正直、550円というのは大衆酒場価格に較べると高いと感じたが、いやいや納得の満足感はある煮込みだ。
豆腐やコンニャクのたっぷりで、肉もこんもり。
コクのある深い味付けで、こりゃ汁だけでも酒が飲めそうだと感じる味。
ただ店的には煮込みの汁をゴハンにぶっかけて食うのが推奨のようだが、酒飲みからするとゴハンのお供にするのは勿体なく思ってポン酒を注文した。
ビールもいいが、ポン酒も煮込みに合うよねと思うんだ。
この辺で、落ち着いて店内を見回す。
煮込みだけじゃなく、酒のアテになるものがいろいろある。
カウンターに並べられた惣菜もいいね、キレイに焼かれてる玉子焼きもソソる。
普通の玉子焼きじゃなくて、品書きによると“う巻き風”とのことで、うなぎじゃなくサンマの蒲焼を巻き込んであるとのこと。
それもいいじゃない、と注文した。
うん、適度にチープ感があって、こういうの好きだわ。
調子にのってポン酒もう一杯。
最初はとっつきにくいかなと思ったマスターは、意外とけっこう話好きで、なかなか楽しく飲めた。
14時から飲めるのは平日だけっていうのも、なんか独自のスタンスを感じて面白い。
藤崎は自分の普段の行動圏ではないけど、わざわざ行くのも良いなと思える魅力があるね。
昼から飲める日は西新、藤崎に出ていって過ごすというのも、バカンス感があって良いかもね。
↓「食べログ」での店舗情報