飲める食堂を求めている。
食堂という食堂をローラー作戦で……という財力も時間もないので、ターゲットを絞ってトライしている。
方法としてはGoogleMapsで“食堂“と検索して、該当する店のストリートビューを見てみる、というやり方で。
そうやって外観を見ると、飲めそうか飲めそうにないか、あるいは既に廃業してるようだなといったことが判る。
うまくすればクチコミや写真が投稿されているので、これは確かに飲めそうだなと判断できるケースもある。
そんなこんなで室見駅に近い「ふくみや食堂」へ。
もう、ね。
この佇まいだけで、来た甲斐があるなって感じちゃったね。
立ち寄った日は祝日だったが、幸いなことに営業しているようだった。
ガラガラと引き戸を開けて店内へ。
けっこう広いんだ、という印象。
そして古びていて、味わい深い空気。
大将は小上がりに腰掛けて新聞を読んでいて、女将さんはテーブル席でテレビを眺めていた。
もう14時台の後半だったから、昼メシを食う客はすっかり退けた時間帯だったんだな。
女将さんがテーブル席をすすめてくれて、お茶を出してくれたが、まずビール。
キリンラガー瓶があって嬉しい。
ビールのアテをどうしようかと壁に貼られた品書きの短冊を眺めていたら、ちょっとしたものはこっちにあるよと、フロアと厨房を仕切る壁に作りつけられたショーケースを案内してくれた。
そこに作り置きの一品料理が用意されていて、木製のショーケースは手作り感があったなぁ。
厚揚げを煮付けたものをいただいた。
ほんわかちょっと甘めで、なかなかの味。
他には魚の煮付けなんかもあったな。
ビールを飲み干したら食堂らしい焼飯とか焼きそばとか食いたいかもって気分もあったが、大瓶のビールはそうすぐには飲み干せないので、ゆるゆるとテレビを飲みながら飲んだ。
もう一品くらいアテが欲しいなと、玉子焼きを注文した。
家庭の玉子焼きって感じの見た目が和む、これもほんわりちょっと甘い味付けだった。
注文をさばいてくれた後、また大将は小上がりで新聞を読み、女将さんはテーブル席でテレビを。
静かな時間が流れて、でも少しも沈黙が気まずく所在なく感じることはない昼下がり、といった空気。
そこまで酒のアテになるものが豊富にあるわけでもないので、飲めるよ食堂というよりメシ屋さんって気もする。
でも、なんの憚りもなく飲める店だな。
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