いつだったか忘れたが何かの目的で西新へ訪れた際に、気になる佇まいに目が止まった。
外装の青い波トタン、田舎の街灯みたいな照明、古いホーロー看板を摸したであろう看板、それらが俺には萌えポイントなんだな。
献立なんかも書いてあって、なるほど飲み屋なんだなと判った。
この最初の遭遇のときは昼間で、まだ店は開いてなかった。
しばらく経って、夜に立ち寄った。
辺りが暗いと、外観の味わいが増すね。
あらためて屋号を確認しようと看板を見ると、えらい文字情報が多いな。
上から順に読んでいって「田舎BAR 中畑 ナカばあちゃんの店」って名前の店だってことでいいのかな。
ガラガラと引き戸を開けると、良い意味で掘っ建て小屋っぽい外観に相応しく店内は狭くて古びている。
そして、迎えてくれたのは、まだ若い男性店主だった。
えっ、“ナカばあちゃんの店”って書いてるから婆ちゃんがやってる店かと思った、と思わず声に出すと“おばあちゃん子だったから”と店主が答えてくれたのだが、なんだそりゃ(笑)と思ったね。
狭くて古びていると書いたが、おまけに生活感もある。
ただそれでいて、新宿のゴールデン街の隅っこにありそうな店だという感じもした。
席数はカウンターの周囲に6席くらいだったかな、先客の常連さんに空間を少し開けていただき、座ることができた。
ビールは赤星がある。
喫煙できる。
もうそれでだいぶ俺には高評価だ。
それから一月ほどして再訪。
また赤星、次にハイボール。
前回は見なかった食べものメニューを、今回は眺めてみた。
店先に“冬はおでん夏は焼き鳥”みたいなことが書いてあるから、それしかないのかと思ったが意外とフードメニューのラインナップは豊富だね。
親子丼400円って安いなと思いつつ、鶏ねぎチャーシューと煮卵ってのをお願いしてみた。
これが380円ってのは嬉しいねという量があり、味も好みで酒が進むやつ。
店が狭いから店主や他のお客さんと会話が自然発生的に起こり、かつ会話がユルい感じで、独りでも手持ち無沙汰さはないし居心地が良い。
古びて狭くて安くて居心地が良い、と、俺の好きな諸条件揃った優良飲み屋だなぁ。
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