まぁ雷門辺りの観光地っぷりのスゴいこと。
人力車ルックの若い男女の観光客キャッチが多いことよ。
いや昔から観光地ですけど、ここまであからさまに観光地してたっけ?
いや俺も観光客ではあろうけど、観光には興味がないわけです。
浅草寺や雷門の辺りが如何に観光客でごった返していようとも、俺には六区がある。
浅草六区、初めて訪れたときはビビったね、此処は日本なのか!? と。
通りの両脇には浮浪者と見紛うオッサン達が座り込み……いや、うずくまり、ワンカップを傍らに競馬新聞を睨みつけていた。
そういうオッサンが通りのあちこちに棲息しており、これがスラムってものか、と思ったものだ。
路地の其処此処では、何の肉を焼いてるんだかわかんないような串焼き屋が露店営業していたよなぁ。
昼間っから酒をあおる客しかいないような古びた食堂では、店内のテレビで競馬中継が流れていた。
大阪の西成、あいりん地区はスラムで怖いところだってのをネットでも散見するし、リアルでも大阪在住者から“あそこには行くもんじゃない”と言われたことも何度かあるが。
いやいや六区のほうがスゲーだろと思っていたんだよ。
そんな六区へ、すごく久々に行ってみたら。
えっ?
いやいやいや……えっ?
これ六区? マジで?
六区、こんなキレイなストリートになってしもうたん?
家族連れとかカップルとか楽しげに歩いててオサレな店とかあるんやけど、これ六区?
いやいやいやいや……(膝から力が抜ける)
なんか……もう……
えー、浅草で、昔ながらの酒場とか立ち飲み屋とかを巡ろうと、ネットで良さげな店の情報を拾って何軒かリストアップして、よ〜しパパ今日は浅草でディープに飲み歩いてベロベロになっちゃうゾ〜♪って張り切ってたんですけどね……
なんかもうね、もう気力は失われた。
いや、それでも路地なら、メインの通りを離れれば、俺が知ってる六区の風情が残っているのでは。
そう思い直して、ちょっと歩いてみたわけです。
これだよ。
あとで知ったが、ホッピー通りっていうのかね。
ズラリと、観光客目当てに思える、観光客しか入らないっぽい露天みたいな店が。
萎える。
いや中には昔からやってる店もあるのかもしれん、だが、この光景だけで、もう俺にはダメだ。
俺の求めていた浅草は見当たらなかった。
もっと歩き回れば見つかったかもしれないが、そんな気力は失せていた。
さはさりとて、良く晴れて夏日といえるほど気温は高いし、ビールが飲みたい。
萎えた気力を補完するためにも、ビールが飲みたい。
あまり観光客が寄り付いてないような店を探して、こちらへ。
「大衆酒場あそこ」か、そういやリストに入れてたな、と。
静かな佇まいだし、良さげだな。
店先にメニューが掲示してあり、うーん安くはないなと思ったが、とにかくビールが飲みたい。
店に入ると、母と息子で切り盛りしてる様子で、L字カウンターには先客が少し。
常連であろう客が2階に上がっていって、どうやら昼から宴会の模様。
とにかくビールだ。
キリンラガー瓶があって嬉しい。
アテに、鮪ぶつ500円也を。
値段の割りに、ちと寂しいね。
やたら喋りまくって同じようなことを何度も言う常連がウルサいな、と気になるほど店内は静か。
なんかこの、大衆酒場的な風情は感じず、安い小料理屋みたいな雰囲気だね。
うーん、正直あんまり魅力を見いだせなかったな。
ここ、本当に事前にリストアップしてた「あそこ」なんだろうか。
あのあそことはちがうあそこなんじゃないかと思ってしまったよ。
浅草では8軒ほどハシゴする計画にしてたんだが、そっと浅草を離れましたよ。
↓「食べログ」での店舗情報
大衆酒蔵 あそこ (居酒屋 / 浅草駅(つくばEXP)、浅草駅(東武・都営・メトロ)、田原町駅)