これが、映画館のロケーションによっては、さてどこへ立ち寄ればいいものかと思案してしまうことがある。
そうなるのは、那の津のKBCシネマだ。
近隣に、とても飲食店が少ない。
天神まで歩けば、そりゃ店はいっぱいあるが、そこまで歩くうちに“うん、帰るか”と冷静になってしまう。
それより親不孝通りのほうが近いが、俺のようなオッサンが独りでフラっと寄れる店はない印象だ。
そう思っていたが、なんとも良い居酒屋に出くわした。
いつも通らない道をと努めて路地へ路地へとウロウロしてたら、なかなか味わい深い看板に目が止まった。
薄汚れていて、すすけていて良い。
店先にメニューが掲示されているので見ると、なかなか品数が多く、そして安いな。
そして店内はガヤガヤはしていないなと、外から窺えた。
予想より広い店内で、カウンターとテーブルの席がけっこうある。
そして席は、そんなに埋まってなかった。
あ、ここに掲載した画像はタイミングを見計らって撮ったものだから一切お客はいなかったように見えるかもしれんが、そうじゃないよ。
まずビール、キリンラガー瓶があって嬉しい。
ビールとともに出されたお通しは、鶏肉のはいったあっさり酢の効いた和え物で、これはいい、これだけで飲める。
メニューを眺めると、本当に品数が豊富だな。
重いのから軽いのまで、いっぱいあって、嬉しいことに安いのがいっぱいある。
かんぱちの刺身を注文した。
380円と安いのに、ぶりぶりと肉厚だ。
こうなると、ビールを飲み干したらポン酒にシフトしたい。
料理が安いと酒は高い、という店もあったりするが、ここは酒も安い。
表の看板に銘があった福徳長をもらおう。
嬉しいことに徳利にはいって、一号が300円という安さで嬉しいなぁ。
この辺で、もうすっかり気分良くなってる。
気分が良くなると、心に余裕ができるものだ。
ちょっと冒険してみよう、と思った。
刺身がぶりぶりだからポン酒にシフトという、ここまでの流れをぶった切ってみる。
メニューを眺めて気になったんだよね、トンカツ。
380円なんだよ、トンカツ。
値段なりの貧相さって、ないよな。
ま、ちと固い肉だなと思わなくもなかったが、380円という値段以上に満足できた。
この店ではどういうBGMが流れていたとか、まるで覚えていない。
ハートフルな接客だった記憶とかはない。
あったのは、安い酒とアテだ。
その他に俺に必要なものがあっただろうか? ないな、なんにも邪魔されず飲みながら映画の余韻を反芻できたな。
この店は素晴らしい。
もう、那の津で映画を観てから、どこで飲もうか迷う必要はなくなった。
↓「食べログ」での店舗情報
師岡酒蔵 (和食(その他) / 天神駅、西鉄福岡駅(天神)、天神南駅)