美味しさに負けて、飲むことを諦めてしっかり食事してしまった。
上本町の現場で仕事をしている、近鉄の大阪上本町とか大阪メトロ谷町九丁目駅が最寄りとなる辺りで。
メシを食ったり酒を飲むのも、だいたいその辺りで済ませてしまったいる(それでまったく困らない)。
が、ちょっと行動範囲を谷町六町目駅とか谷町四町目駅のほうへ広げてみようと思った。
谷町六町目駅から歩いてすぐって感じの「ニュー正富」。
事前にGoogleMapsで見つけていて、屋号に“ニュー”って付いてるのが良いなぁと思って。
長いことやってる店が代替わりしたとか、兄弟店を出したとか、そういうの想像させるよね“ニュー”って。
実際、店先の様子は、昭和の頃からやってる食堂という印象だった。
メニューサンプルのショーケースがあるのも、昭和。
しかし、俺にとって残念なものを見つけてしまった……禁煙の貼り紙。
これは、GoogleMapsに投稿された画像を眺めて“どうも禁煙くさいな”と感じていて、心の準備はできていた。
飲める食堂かもしれない、という期待があった。
だから早い時間帯(まだギリギリ12時台だった)にもアルコール注文できるか確認してから、ビール。
だが残念な事に、この店にはキリンラガー瓶もサッポロラガー瓶も置いてなかった。
消去法的選択で生ビールということになった。
キリンなしサッポロなし灰皿なし、の三重苦……飲める食堂ではなかった。
実のところ、ある程度は品書きも事前に把握していた(GoogleMaps調べ)。
だから、出し巻きと肉吸いで日本酒いけるよな、と事前に脳内試算もしていた(キモいよね)。
まず瓶ビールで、出し巻きの途中で日本酒にシフトして、肉吸いで“汁で飲む”的に日本酒もう一杯……みたいな。
それは潰えたわけです。
よし、切り替えていこう。
とにかく俺はビールを飲んでいるんだし、昼メシは済ませてないし、なんか食いものが欲しい。
ビールのお供になるものだと、尚良し。
それで、チャーシューエッグという一品を頼んでみた(これは事前に把握してなかったメニュー)。
チャーシューエッグが提供されるとき、まず臭覚が香りたつデミを感知した。
目の前に品物が置かれると、視覚的にソースたっぷり。
いやチャーシューという単語から、甘辛くて醤油の香りとかを連想するじゃない。
これは、洋食じゃないか。
香り高いデミグラスソースたっぷりの、もはや酒のアテではない、ひとつの立派な洋食だ。
そして、チャーシューというものでもなくて、これもうポークチャップなんじゃないかな、と思わされた。
この店のメニューには中華そばがあって、それにはチャーシューが乗っているだろう。
そのチャーシューを流用した手軽なものだろうと想像していたよ、チャーシューエッグのことを。
でも、違った。
想定外に、美味しい一皿だった。
想定外に美味しかったので、予定は完全に狂った。
酒を飲んでる場合じゃない、という問題が発生した。
肉と玉子と付け合わせの野菜を平らげたあとの皿に、うまいソースがたっぷりと残ったのだ。
それは、そのままにはしておけない、対処しなければならないインシデントだった。
ギャルソンにバゲットを頼めば解決できるが、この店ではそれができない。
この事態が自宅で起こったことなら皿をベロベロ舐めることで解決できるが、ここは飲食店だ。
どうするべきなのか、俺は苦悩したので酒を飲むどころではなくなったというわけなんです。
オムライスを注文しました。
どうしてそうなったかという思考の流れは、こうだ。
バゲットも皿ベロベロもダメだとして、ここにスプーンがあれば残ったソースを掬うことができるな=>
でもソースはうま過ぎて、それだけを味わうより何かと合わせたいな=>
それにスプーンだけ出してもらうのちょっと恥ずかしいかも=>
ならば自動的にスプーンが付いてくる料理を注文してはどうだ、ライス系だと望ましいな=>
オムライスじゃん……完璧に理知的な思考の流れですね。
そんなこんなで、食いものが美味しかった。
飲める食堂かもという希望的観測は的外れという結果に終わったが、悔いはない……ほどに、美味しかった。
まぁオムライスが鶏肉ゴロゴロでボリュームあって、腹いっぱいになり過ぎたというのも予期せぬことだったが。
それもまた、総じて、美味しくて腹いっぱいになった。
この品性下劣な酒飲みがやっているタベノミーというブログとしては、不本意ではある。
メシはまぁまぁ、それより酒飲めるんじゃん、というオチになってくれるのがタベノミー的には望ましかったが。
そういう意味で、負けた。
もう既に、もいっぺん行きたいなと思ってしまっている。
この店に立ち寄ったのは2022年10月18日
↓「食べログ」での店舗情報
お食事処 ニュー 正富 (定食・食堂 / 谷町六丁目駅、谷町四丁目駅、松屋町駅)