この辺りは、面白半分なのか無知ゆえなのか、やたら危険で立ち寄るべきではない最底辺の無法地帯のような言われかたをされる。
でもなぁ、この辺りにも生活があり日々を過ごしてる人たちがいるんだから、無闇に忌避すべきじゃないと思うぜ。
西成警察署のそばにある「難波屋」は、この辺りの代表的な飲み屋なんじゃないかな。
朝から開いてる、立ち飲み、酒も食いものも安い、客は主にオッチャン、見た目が古くてボロい、そういった要素をすべて満たしてる感じよね。
九州在住の俺は萩之茶屋の飲み屋をそんなに知らないわけだが、だからこそ“ああ、こういうのが萩之茶屋だよなぁ!”という妙な嬉しさがある。
それは観光客目線でもあり、地域の人にはちょっと申し訳ない気もするんだけどね。
「難波屋」に立ち寄ったのは朝の9時台だが、既に先客が何人も。
カウンターのみ椅子なしで、適当な場所に立つ。
さて飲み物を注文しよう。
ここは二軒目で、さっきビールは飲んだから違うものにしようとトマト酎を。
氷の入ったグラスと、大振りなショットグラスになみなみ注がれた焼酎、やはりグラスに注がれたトマトジュース。
自分で好きなように混ぜて飲んでねというわけね。
グラスが冷やされているのに感心、なんか思ったより丁寧なのね。
混ぜたらこんな感じ。
割合的に焼酎が多いんで、あとでトマトジュースだけ追加して2杯目とした。
腹は減ってなかったので軽めのアテとして、かいわれをハムで巻いたものをいただいた。
あっさりつまめて、うまかったな。
食べものメニューがすごく豊富で、おしなべて安い。
100円台、200円台のものがいっぱいあって、酒のアテになるものやメシのオカズになりそうなものもある。
大鍋にカレーが用意されていたりもするが、注文後に調理するものもある。
俺が注文したのじゃないがニラ玉はゴツい五徳の業務用ガスコンロの上で豪快にフライパンを振って作っていた。
玉子焼き用の四角いフライパンなんだけど、熱のせいか豪快に振るからか経年劣化か、きちんと四角とは言えない不思議なカタチに変形していた。
すっごく使い込まれた道具って、なんだかイイよね。
シジミ汁、アサリ汁なんかもメニューにあり、こちらも注文後に一人用サイズの雪平鍋で、丁寧に味噌を溶いて作っていたんだよね、百何十円のメニューなのに。
真摯な営業姿勢で感銘を受けた。
そんなに愛想はない若めの大将と、そのオッカサンと思われる二人で切り盛りされてて、その二人とも仕事に妥協のない感じが伝わってきた。
立って飲んでる背後の壁には、たくさんのチラシやポスターが貼りまくられていた。
ほとんど音楽系の、ライブの告知とかだったな。
そして店の奥に目をやると楽器や機材が置いてある、ちょっと広くなったスペースが。
この店は、ライブも催される飲み屋なんだな。
酒を愛し食を愛し音楽を愛し、という店なのか。
素晴らしい。
すごくイイね「難波屋」。
大阪に住んでりゃ通うね、この店。
↓「食べログ」での店舗情報
難波屋 (立ち飲み居酒屋・バー / 今池駅、萩ノ茶屋駅、動物園前駅)