西鉄雑餉隈駅から東へ、広い県道に出てしばらく行って東雲町。
ホームセンターの斜向いに古びた平屋建ての酒屋がある。
「よしつぐ酒店」。
屋号の表記は看板に準じたが、ネット上では「吉嗣酒店」という表記もあるね。
味気ないサッシ戸の店先は、看板がなければ酒屋とはわからないだろう。
キリンビールとサッポロビールの看板がいいね、どちらのメーカーのビールも好きだぜ。
サッシ戸には何枚も張り紙があって、なんだろうと近づいて見てみた。
立ち飲み・角打ちできますよって内容で、そういうのが何枚も貼ってあるのだった。
積極的に角打ちを奨励してるわけだよ、嬉しくなるねこういうの。
つーか、張り紙バリバリして角打ちできますってアピールしてないと店に入るのに勇気がいりそうな外観だから、張り紙は苦肉の集客策なのかもしれない。
もっとも、サッシ戸の向こうに見える店内には立派にカウンターが誂えてあるから、それなりに角打ち経験値がある者なら店内をちょいと覗けば飲めるなと判ると思う。
店に入ると70過ぎのオイチャンがフレンドリーに迎えてくれた。
一見の余所者の怪しいオッサンである俺だが、ぜんぜん訝しまれることはなかったね。
サッと店内を見渡すと、これがなかなかクラシックな風情なんだなぁ。
カウンターの奥に冷蔵ケースがあるのでセルフでは取れず、オイチャンに注文するシステムになる。
このとき俺はハシゴ酒4軒目だったのでビールはもういいかなと思いつつ冷蔵ケースの中をよく見るとサントリー角瓶が冷やされている。
よしそれだとハイボールをお願いすると炭酸が切れてるとのことで、水割りで。
こちらが水割りセットになります。
すごくぞんざいなセットのように見えて、けっこう素晴らしい氷を用意してくれた。
水もよく冷えている。
そして、ウイスキーがなみなみと注がれている。
自分で水割りにしたが、水があんまり入らないので濃度が高いぜ。
これは酔うよ、まだ午前中なのに。
飲みながら改めて店内を見渡すと、やけに中山律子のピンナップがあるなと気づいた。
若い人は知らないと思うが、中山律子というプロボウリング選手が全国民的に人気だった時代があるんだよ。
中山律子に限らず、ボウリングってものが大人気だったんだよな、ゴールデンタイムにテレビでボウリング番組やってたもんなぁ。
と、そんな懐古的な話題をオイチャンに振ったら、奥さんが中山律子と一緒に写ってる写真なんか見せてくれたよフエルアルバムに貼ってある写真を。
(フエルアルバムってのも若い人は知らんな)
あ、中山律子ピンナップだけじゃなく、大物俳優のサイン色紙も飾ってあったな。
まぁ雑多な店だ。
そしてオイチャンは多趣味で、出かけるのが好きでJRウォーキングによく参加してたり、ダーツが好きでマイダーツを持ってるし店内でダーツができる。
できるっつーか、オイチャンがダーツ投げて見せてくれた。
なかなか上手いんだなこれがまた。
壁にダーツが掛かっていて土間の床には白いラインが引いてあり、それは公式の距離のラインだそうな。
趣味と話題が豊富で屈託のないオイチャンで、そのとき他に客はなかったからベタ付き接客してくれたwww
面白くて、ウイスキーをおかわりした。
飲んでばかりなのもアレかなと、アテを頼もうと思った。
魚肉ソーセージや缶詰があったが、ここのオススメは冷奴だとオイチャンが言う。
冷奴100円也を注文した。
見た目ざっくりチューブ充填豆腐だが、使ってる醤油に矜持があるとのこと。
糸島の醤油だそうで、甘みが前面に出てるがまろやかだ。
オイチャンが面白いので、ついつい長居してしまった。
会計をお願いすると600円。
安っしぃ!
オイチャンは客が来るのが嬉しいようだし、若い人にも角打ちに親しんで欲しいと言っていた。
これを読んでくれている若いアナタ、ぜひ行ってみてください。
気軽に安く飲めるよ。
あんまり酒販してる様子がなく、酒屋の角打ちってか立ち飲み屋に近い気もするが、いい店だ。
ぜひ再訪したい。
「よしつぐ酒店」福岡市博多区東雲町3-1-18
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