鄙びた趣きの店舗と素朴な甘辛さの肉丼に貫禄さえ感じる「松尾食堂」久留米市日吉町

佐賀の酒蔵へ行った日、まずは久留米で腹ごしらえをと「松尾食堂」に立ち寄った。

松尾食堂

酒蔵でたらふく酒を飲むから、しっかり腹に飯を入れておこうと思った。
では、ずいぶんと久しぶりに「松尾食堂」に行こうと思った。
西鉄で久留米まで行き、JR久留米駅からバスに乗る段取りだったので、西鉄からJRまで歩いて移動する経路上にある「松尾食堂」に寄るのに、良い機会だ(最短の経路でなく寄り道になるが、それも一興ってもんよ)。

たぶん初めては、15年とか16年くらい前だな。
久留米が地元の女性に連れていってもらって、店そのものにも看板メニューの肉丼にも感銘を受けたな。
それから何年かに一度くらいのスパンで、思い出したように足を運んでる。

松尾食堂

変わらない佇まいで、変わってないことに嬉しくなる。

土曜の12時台で、席はけっこう埋まっていたが、テーブル席にひとつ空きがあった。
ここはカウンターはないので、一人客なのに申し訳ないと思いつつテーブル席へ。
後客があったら相席を快諾するつもりでいたが(相手は俺みたいなオッサンはイヤかもしれないが)、俺の後に何組も客はあったが、なんだかうまいこと先客と入れ替わるようなタイミングだったので“うまいことまわるもんだ”と妙に愉快だった。

松尾食堂

席に着くと同時に肉丼を注文していた。
卵入り・ナシどちらか訊かれ、ナシでお願いした。

松尾食堂

フロアを一人で仕切るオバサマは、注文をとったり食器を下げたり奥の厨房にオーダーを告げたりと忙しそう。
厨房も一人だろうか、品物の提供までそれなりに時間がかかる様子だった。
お茶なんぞ飲みつつ、テレビなど眺めつつ待つ。

松尾食堂

隣の建物との間の、そんなに幅はないであろうスペースに竹が植わっていて、それが窓から見えるのが良いな。
なんだか窓の外には中庭があるように感じて、風流だよ。
フロアのオバサマは忙しげではあるんだが、店内の時間はゆっくり流れてような錯覚を感じて、それは壁や天井に長い時間の積み重ねが染み入っているように思えるからかな。

松尾食堂

床がコンクリートの土間みたいで、それもひんやり静けさを感じさせるのかもしれない。
ところで椅子が、昔の列車の木製の椅子を思い出させる造形で懐かしさを感じるし、背もたれがかなり垂直に近くて、なんか背筋が伸びる気持ちにもなるな。
などと思っていたら、肉丼がきた。

松尾食堂

あー、いいねー。
屋号のはいった丼の蓋。
分厚いタクワン、箸袋。
なんだか貫禄とか風格なんかが感じられる。

松尾食堂

蓋をとると、堂々たる肉丼だ。
細かい肉だが、どっさりと乗っている。
乗っている、というか実際に食ってもらえるとわかるんだけど、全体的に肉まみれなんだよ。

甘辛く、素朴だがあとをひく味付け。
ややクドい、と言ってしまえなくもないクセになる味。
これに卵を投入すると全体がマイルドになっちゃうんだろうなと想像するから、卵ナシにしたのよね。
素朴ながら無骨な味わいが、ここの肉丼だと思うんだわ。

ずいぶん久しぶりに食ったけど、ああこうだった、という満足感と、こういうの「松尾食堂」でしか食えないよなという満足感と、甘辛い肉あたっぷりだなぁという満足感とで、満足感まみれになった。

↓「食べログ」での店舗情報

松尾食堂牛丼 / 久留米駅