そういう情報をネットで拾っていて、そりゃ安いから行ってみねばと思っていた。
お初天神の傍に路地があって、そこにちんまり佇む「壱信」という立ち飲み屋(屋号は“いっしん”と読む)。
土曜の夜、なかなか盛況でなんとか隅っこに場所を立ち位置を確保した。
まずは飲みもののご注文をとのことで、日本酒を1杯。
アテの品書きに視線を走らせると、お通しが出ますよと店主から声がかかる。
ほどなく2点盛りが出された。
サーモンとタコ、どちらも厚みと存在感が嬉しい。
食べると鮮度と旨味に優れて、特にタコが良かった。
期待値以上にとても美味しかった、500円のセットの刺身はたいしたことはないだろうと頭にあったが、ぜんぜん予想は覆された。
ここで整理しておくと、最初の1杯に自動的に2点盛りがお通しとして付いて、ひっくるめて500円なのね。
これでサッと帰れば安く満足ってことになるが、刺身をじっくり楽しむには酒があと何杯か欲しくなる。
それに、美味しそうなものが他にもいっぱいある。
このとき同行者がお二人あって、めいめい思い思いに注文した。
よこわのお造り、これも良かったな。
店主によると経営母体が魚屋で、それで良いネタが手配できるのだと。
タコは、天ぷらでも秀逸だったな。
一見して色味と大きさからサツマイモの天ぷらかと思っちゃう、ぶつ切りのタコ。
揚げても柔らかく、油が旨味を増すね。
何杯か日本酒を飲んだが、トマトチューハイも良かった。
なんだか不思議に美味しくて、甘みと柑橘系のような爽やかさを感じたので隠し味的にグレープフルーツジュースとか入れてますかと店主に訊いたら、単なるトマトチューハイです、と。
一人で店を切り盛りする店主は忙しそうでありながら、客をちゃんと見て細かい配慮があり、なおかつ控えめながら気さくな人柄。
話が前後するが、客が品書きを見ているときに“お通しが出ます”と一声かけてくれるのは嬉しい気配りだ。
初めて入る店では付き出し、お通しの出る出ないは判らないが、わかっていれば食の細い人は注文し過ぎずに済むし、お通しは何か訊けば注文しようと考えている品とカブることも避けられる。
だから、ほんの一声だが素敵な配慮だなと感じた。
安さに惹かれて立ち寄ったわけだが、それを恥ずかしく思うくらい佳い店だったなぁ。
また行きたいなぁ。
↓「食べログ」での店舗情報
いっしん (立ち飲み居酒屋・バー / 東梅田駅、北新地駅、梅田駅(阪神))