千林商店街の東の端、京阪千林駅の改札がある辺りに、千林駅前あじな商店街という路地がある。
いやほんと商店街と名乗ってるけど路地だよねぇ、そこに入っていくと、やがて見える。
もうその外観だけで惚れ惚れしてしまう「酒の大八」。
あ、あそこだな、と遠目に確認できた斜めのアングルに、惚れ惚れ。
店の前まで来て、看板を仰いでまた、惚れ惚れ。
緩い曲がり角に建ってて出入り口が2面あるのね、その2面をとらえて惚れ惚れ。
建物の2階は住居って造りなのかな、めちゃくちゃ質素に見えるのも味わい深い。
もうね、店の外観を眺めてるだけで酒が飲めるよ、いや店内で飲めって話しなんだけど。
開店16時を1時間ほど過ぎようかというタイミング、もはや盛況だったがカウンターになんとか空きがあった。
座って、まずは酒、常温で。
ここの前にビールは既に飲んでたってのもあるけど、いきなり酒でいきたい、という気分にさせる雰囲気。
アテに、とり皮焼き、けっこう身がついてて予想外だったが、食い応えがあって酒も進む。
そうなると、酒おかわり。
嬉しい喫煙可だから、腰を落ち着けて飲める。
それにしても、品揃え豊富な酒場だね。
そうなんだけど、品書き短冊が雑然と貼ってあるから見にくいし、貼り方にカテゴリ毎みたいな法則性もなさそう。
まぁそれはそれで、通い詰めたとしても“えっ、こんなんあったん?!”みたいな喜びがありそうだけどね。
地理的に俺の行動圏内じゃないから通い詰められないのが悔やまれる、いやまたわざわざ来たい。
テーブル席はグループ客で賑やかで、ご近所さんって感じで、意外と若い人たちの利用もあるんだね。
カウンター席は独り飲みのおっさんばかりで、つまり俺の場所だ。
席につくときコートを脱ごうとするなり、フロアを切り盛りするおばちゃんが大きなビニール袋を持ってきてくれた。
それにコート入れて口を縛って、足元に転がしとけっていうユニークなホスピタリティ、いいね。
去り際にも、また外観を眺めて、惚れ惚れ。
嗚呼、こんな酒場に来るために、俺は九州を出てきたんだよ、とまで思わせる歓びがあった。