なかなか利用できずにいた「成金屋食堂」。
仕事や生活の行動圏とはぜんぜん違う南堀江というのは、ふらっと寄れる立地じゃなくて。
行ってはみたが、満席で店先で待っている客があったり、営業時間じゃなかったり。
そういうことが3度ほどあったかな、でも“もういいや”とはならず、ずっと気になっていた。
平日の、昼メシのピークタイムを過ぎた時間帯なら余裕で入れるだろう。
あまり遅い時間帯だと、アイドルタイムで閉まってるかもしれないと危惧しつつの13時台終盤。
暖簾が出てる、やってる、店内を窺うと空いてる。
この店の、面構えにずっと惹かれてたんだよね。
角にあってサッシ戸が2方向に開口してて、壁はタイル張りでガラスブロックが埋め込んであって。
紺だったか藤色だったのか、色褪せて元の色が判らない暖簾も良い。
こういう外観だから、これは“飲める食堂”であろうと勝手に期待していた。
まずビール、キリンラガー瓶があって嬉しい。
が、灰皿はない、禁煙の店なんだね。
タバコを喫えないとなると腰を落ち着けてとはいかないが、いやそれでも飲める。
冷蔵ショーケースから玉子焼きとメンチカツを選んで、ビールのアテとする。
うん、ビールを飲み干したら日本酒に移行して、めしと豚汁で締めようかな。
そんなことを考えていたら、懐かしのテレビ番組「11PM」のテーマが繰り返し鳴り響いた。
誰かのケータイの着信音かよ、どんな趣味だよ、と思ったが……違うようだ。
お店の人が、ショーケースの中の商品を片付け始めた。
何人かいた先客が、揃って会計を済ませ始めた。
まさかの閉店を知らせる「11PM」テーマだったのか。
何時迄ですかと店の人に訊くと、14:30とのこと。
そうだったのか、そそくさと撤収。
そんなこんなで、期待通りではなかった。
のんびり昼下がりにタバコを喫いながらだらだらと酒を飲める食堂、ではなかった。
俺が勝手な期待をしていただけで、お店はぜんぜん悪くないのよ。
で、もう“飲める食堂”じゃないと判ったから気が済んだのかというと、いや、まだだ。
豚汁を味わってみたかった。
以前にGoogle Mapsへの投稿画像だったかで見た豚汁が、独特でうまそうだったのだ。
そんなわけで、10日ほど経って再訪。
前回で営業時間を把握したので、今回は昼のピークが始まる前の11時台に。
そしてやっぱりビールから、今度は黒ラベルにしたよ。
ビールのお供にオムレツ、中身はシャキシャキ玉ねぎ微塵切りいっぱい。
さっそく、めしと豚汁。
豚肉と豆腐とネギしか入ってなくて、寂しい見た目だという印象は否めない。
根菜とかコンニャクとかあれこれ入ってるほうが嬉しいという気持ちも強い。
しかしこれが、ユニークでうまかった。
まずとりあえず、豚汁といえば味噌仕立てって思うじゃない。
それが違う、いや味噌も使ってるかもだが、なんか独特で……予定調和の外にある味。
なんつーか、福岡の長浜ラーメンの中でもうまいやつ、とでも言いたい感じ。
薄味なんだけど、ちゃんと旨味があるよね、あっさりだけど美味しさの芯はしっかりしてるよね。
そんな感じで、かつスパイシーさも微かにあるような、ともかく他にはない豚汁。
うまかった、満足した。
豚汁のために、また行きたいって思ってる。
この店に2度目に立ち寄ったのは2023年03月01日
↓「食べログ」での店舗情報
成金屋食堂 (食堂 / 西長堀駅、ドーム前千代崎駅、ドーム前駅)