こんなのが角打ちだとは俺はまったく認めない熊本市上通「堤酒店」

こんなもんは角打ちじゃねぇよ。

たぶん4年くらい前にも、立ち寄ったことがある。
角打ちをやってるって触れ込みだったが、焼酎とかを売ってる陳列棚のあるスペースに簡易カウンターが誂えてあって、おそらく観光で熊本を訪れた客が土産ものを選んでらっしゃる脇で飲むという肩身の狭いものであった。
それはそれで、今よりは角打ちと呼べなくはないものだったから、まだ許せた。

もう立ち寄ることはないと思っていたが、“熊本 角打ち”で検索するとこの店の情報がやたらヒットするので、まるで期待はしないが一応は覗いておこうかと立ち寄ってみた。

堤酒店:外観

店先は、えらいゴチャゴチャしてるな……そしてこれは、まるで期待できないなと直感した。
角打ちのそれではない、企業系の居酒屋みたいな店先の、なんというか客を迎えようという気持ちは感じず商売っ気が曝け出されたような品のなさ。
そう、なんというか、あざとい。

“創業明治27年”だとか“今の社長が五代目”とか“会員募集中”とか、そういった店側からの主張ばかりが目について、客へのベネフィットはまるで提示されてない様子だ。

堤酒店:外観

店に入ると、まず右手にテーブル席がいくつかあるのが目に入る。
居酒屋のようだ。
角打ちの光景じゃないな、何人か組の客が、座ってたむろしている。
まったく熊本人ってのは、角打ちでさえ……ここが百歩譲って角打ちだとしてだが……椅子を求めるし群れたがる。
酒を飲むという文化に対しての未成熟さ、民度の低さを見せつけられて気分が悪い。

立ちカウンターもあるので、そちらへ。
さてビールを飲もうと冷蔵ショーケースを探すと、焼酎だかが並んでいるものは目に入ったがビールは見当たらず。
困惑して店内を見渡していると、やはり困惑している様子の店員と目があった。
ビールはあるか訊くと、生はありますとのこと。
なるほど、しかし酒屋の角打ちなら、売っているビールを買って飲むものだ。
瓶か缶のビールは売っていないのか訊くと一応はあるとのことで、立ちカウンターの足元辺りに小さな冷蔵ケースがあって小瓶なのかな、瓶ビールが置いてあるのをようやく見つけた。
このビールは飲めるのか訊くと、500円ですとのこと。
おいおい、酒屋の角打ちが上乗せして売るのかよ。
呆れつつ、ここは角打ちじゃないのと訊くと“うちはこういうスタイルです”みたいなことを言われた。

この辺りで、店員は2人いたが、どちらも“めんどくさいオッサンが入ってきた……”みたいな顔色を、もはや隠していないように感じられた。
酒屋で500円だして瓶ビールを飲むのは許容できないので、生を飲むことにする。
生は俺の嫌いな銘柄と地ビールだとのこと。
地ビールを注文すると、プラコップで出てきた。

堤酒店:酒

500円で、これか。
で、これは熊本の地ビールなのか、なんという銘柄かと訊くまで、なんら商品についてのコメントはない。
地元のビールなら、ちゃんとアピールしてやれよと思ったのは要らぬ世話かね。

秒速でビールを飲み干してサッサと撤収しようと思ったが、隣の先客に話しかけられたので少し応じる。
県外から来たとのことで、熊本には正しい角打ちや昼から飲める店は希少であることを話し、上野の「たきおか」は素晴らしいねという話題で少し盛り上がった。
九州で飲むんなら北九州や福岡が楽しいよと、熊本では水前寺にちゃんとした角打ちがあって新市街に昼から飲める店があるよと情報提供しておいた。
他にもすすめたい店はあるが、県外からの人がアクセスが容易なのは繁華街か水前寺くらいまでだろうからね。

ま、ハナっから期待してはいなかったが、予想以上にアレな店だったな。
システム的にも、つーか営業姿勢も接客も、まるで受け入れられない。
こんなのが角打ちだなんて、俺は絶対に認めない。
そして、ここに群れている客も、角打ち好きだとは認めない。

人気があるようだし、俺ごときに認めないとか言われても、痛くも痒くもないだろうけどね。

↓「食べログ」での店舗情報

堤酒店+立ち飲みナポレオン立ち飲み居酒屋・バー / 通町筋駅水道町駅熊本城・市役所前駅