<追記 2017年03月09日>
また立ち寄ったので、更新。
とはいえ、とくに変わったことはない。
が、こういう角打ちのできる酒屋においては、とくに変わってないというのも重要ではあると思う。
ちゃんと続いてるんだ、存続してるんだってのがあ嬉しいから。
こういう店の情報って、ネットではなかなか見つからない。
見つかっても、もはや古い情報になってて、もう閉店しちゃってたりとか業態が変わってることもある。
新しい情報がフォローされていることが少ないと感じるのよね。
だから俺は、なるべく情報を更新していきたいなと思っている。
あ、今も角打ちやってくれてるんだ、と判るように。
土曜の夕方に立ち寄った。
先客があって、なんか嬉しかった。
利用者がいるからこそ、角打ちが存続するんだからね。
燗をつけてくれたコップ酒を一杯。
寒い夜には嬉しいねぇ。
また立ち寄りたいな。
<初回掲載 2015年10月29日>
住吉4丁目の、美野島商店街へと通じる広くない通りに佇む酒屋「久芳酒店」。
この酒屋の存在は、しっかり認識していた。
なにしろ、俺の一時期の仕事場の近くであったから。
その頃の俺は毎日のように酒を買う必要があったのだがそれは主にハードリカーで、なおかつ少しでも安く買うためにディスカウントストアばかりを利用していた。
だから、こういう個人商店の酒屋には入ってみたことがなかったのだ、ほぼ毎日のように店の前を通っていたが。
そんなわけで、ここが角打ちできる酒屋だとは知らなかった。
角打ちできるようだという情報を今になってネットで拾って、ようやく初めて立ち寄ってみることとなった。
サッシ戸は開かれているが、なんだか入りにくいなぁー。
そういう気持ちの揺れで、画像もピンボケになってしまってるわ。
ひっそりした個人商店で、店先に情報量が少ないと、なんだか入りにくい。
そしてまた店内に人の気配はないから、角打ちなんかできなさそうに思えちゃうんだよね。
このとき18時ちょい前で、角打ちをできる店なら近所のオッチャンが飲んでそうなもんだが、そういう気配がない。
斜めのアングルから店内を窺うと、あっカウンターがあるよね。
きっと角打ちできるカウンターだよね、あれは。
なんだか安堵して、一歩踏み出す気持ちになれた。
結論から言うと角打ちできました。
しかも、なかなか心地良い。
古い宣伝広告物の意匠が素敵です。
酒を小売りしていて、紛うことなき酒屋の角打ちです。
あまり、ふらっと角打ちに寄る客はいないのではないか。
限られた常連を除いては。
いきなり現れた一見の怪しいオッサンである俺に、やや動揺なさったのか店のお年を召した奥さんは接客をしてくれながら、とても饒舌だった。
知らん客はあまり来ないのだが、という予期せぬ事態だから慌てて饒舌になってしまっていたのなら、申し訳なかったなぁと思うが、もしかしたら単に会話好きの方だったのかもしれない。
知らんがな、という酒類小売業の組合の大会に参加する気苦労とかの話をしてくれて、なんだか可憐だった。
そういうことよりも特筆すべきことは。
酒屋の角打ちでは量り売りで酒を飲めるのが嬉しいのだが、此処ではプロパーな酒を量り売りしているのではなく、都度々々なにか一升瓶か四合瓶だかを開けて飲ませてくれるシステムらしいのだ。
この日は、佐賀の窓乃梅を飲ませてくれた。
純米だか吟醸だかは失念したが、コップに一杯270円。
美味しくいただいた。
そしてまた、量り売りの酒はあるか訊くと“今つぶしているのは”と言って量り売りのため封を切ってる酒を紹介してくれたのが、とても良いと思った。
つぶしている、あまり今はもう、聞かない表現だな。
それが、昔から角打ちをやっているんだなと感じられて、なんだか嬉しかった。
ここに、正調角打ちがあったか。
この店がある通りは、知る人ぞ知るゲイバー密集地帯である。
そして勤め人が頻繁に往来する通りでもないし、人気のある飲み屋があって酒好きが行き来する通りでもない。
だから、ふらっと角打ちに寄る客は少ないんだろうと思う。
そして小売りも、そうは売れないと察せられる。
それでも、ひっそり、正しく角打ちができる酒屋であり続けているなんだなぁ、ここは。
とても、とても素晴らしいなと思う。
近くに居ながら知らなかった俺は、駄目な酒飲みだ。
「久芳酒店」住吉5-15-14